毎年この時期になると欧州のメディアでは、世界年間最優秀選手「FIFAバロンドール」が誰になるのかという話題を見かけるようになる。

 先月28日には14年の候補者23人が発表された。昨年受賞のポルトガル代表FWロナルド(Rマドリード)や、アルゼンチン代表FWメッシ、ブラジル代表FWネイマール(ともにバルセロナ)らが順当に選出され、W杯得点王のコロンビア代表MFロドリゲス(Rマドリード)も入った。

 そんな中、候補の1人であるW杯ブラジル大会優勝のドイツ代表GKマヌエル・ノイアー(28=Bミュンヘン)が、「僕には無理」と早くも白旗を上げた。英デーリーメール紙(電子版)が報じている。

 同紙によると、ノイアーは自分が選ばれない理由として「レッドカーペットを歩くようなライフスタイルを送っていないし、下着モデルとしての契約もしていないから」と話し、筆頭候補のロナルドがイメージだけでもてはやされ、受賞するだろうと皮肉っているという。

 「僕はスポーツマン。パンツをはいてポーズを取るのが仕事ではないんだ」というノイアーは、「レッドカーペットより、緑のピッチの上にいたい。芝の上でベストを尽くす方が自分の性に合っている」と話している。

 はたしてロナルドがイメージだけで賞を獲得しているのかという議論はさておき、実際にGKがバロンドールを獲得するのはなかなか難しそうだ。63年のソ連代表GKヤシン(ディナモ・モスクワ)以来、GKの受賞者はなし。DFですら過去20年で2人(96年ザマー、06年カンナバロ)しかいない。

 この賞は各国・地域代表の監督と主将、記者の投票で決まり、受賞者は来年1月12日に発表される。デーリーメール紙は「ノイアーではなく、世界で最も有名で、最も市場価値のあるメッシとロナルドに投票が集中するだろう」と記事を締めくくっている。

 だが、ノイアーの「サッカーでメーンになるのはゴールであり、チャンスメークであり、アシストなんだ。GKがリスクを冒して難しいボールを止めたり、後方からゲームを組み立てたりするのは、見ている人はあまり覚えていないんだよ」という自虐的な言葉を聞くと、ちょっぴりかわいそうな気もする。GKの概念を変えたといっても過言ではないノイアーが選ばれたとしても個人的には驚きはしない。