アスリートとして、サッカー選手ほどオールラウンドな能力を求められる競技はないだろう。

 スピード、持久力、当たり負けしない筋力、ボールを扱うテクニック、ジャンプ力…、数え上げればきりがないが、これらを併せもって、初めてサッカー選手として一流になれる。

 だからこそ、現在は他競技で活躍していても、かつてサッカーをプレーしていたという選手は多い。

 米ウォールストリートジャーナル紙(電子版)は、「いかにサッカーがNFLに影響を与えているか」という記事を掲載。コルツQBアンドリュー・ラック(25)ら「サッカー卒業生」の証言をもとに、サッカーの要素を、どう現在のアメリカン・フットボールに生かしているのかを検証している。

 ラックは、父親のオリバー・ラックがNFLヨーロッパの会長をしていた関係で、幼少時をロンドンやフランクフルトで過ごした。そのため当時、最も熱中していたのがサッカー。技術のあるMFだったという。

 ラックは「(アメフットで)ボールを投げる時、大事なのは位置取り。うまく動いてパスコースを作ることだ。サッカーをプレーするとその力が培われる。QBは特に、ヘタでももっとサッカーをプレーした方が良いと思うよ」という。

 ジャイアンツWRオデル・ベッカム(22)も、10代のころはサッカーもプレー。ロナルド(Rマドリード)のように技術と身体能力を兼ね備え、地元では有名なプロスペクト(有望株)だったという。

 ベッカムは「サッカーはフットワークと、コンディショニングを学ぶのにとても良いスポーツ。前後左右に素早く動くし、アメフットの全ての要素が含まれている」と話す。

 ガーナ出身のライオンズDEエゼキエル・アンサー(25)は、米ブリガムヤング大に進学するまで、アメフットは未体験。だがサッカーで鍛えた運動能力で、見事NFL入りを果たした。

 同じライオンズDTエンダムカン・スー(27)も、子供のころから元フランス代表FWティエリ・アンリにあこがれて育った。「サッカーの経験は現在でもとても役に立っている」という。

 あのなでしこジャパンの佐々木則夫監督は「サッカーはコーディネーション(周りの状況を察知し、それを頭で判断し、筋肉を動かす一連の行動)を高めるのに有効。だから他の競技にも役立つんです」と話す。やっぱり、最初に子供にやらせるならサッカーかも!?