日本代表DF内田篤人が所属するシャルケは今月11日、元ガーナ代表MFケビン・プリンス・ボアテングと、元ドイツ代表MFシドニー・サムをシーズン途中で解雇した。

 クラブ首脳陣やロベルト・ディ・マッテオ監督の雷が落ちたことによりクビを切られた2人については、自業自得な面もあり同情の声は少ない。しかしその一方で先日、同監督の就任が影響し、自らシャルケを去らなければならなくなった人物もいた。

 その名はペーター・ノイマン(58歳)。父親カール・ハインツ・ノイマンが半世紀以上にわたりシャルケに在籍し、トップチームの世話係などを務めていたおかげで、息子ペーターも練習場の脇にインビス(※ソーセージやパン、ソフトドリンク、ビールなどを提供する立ち食い軽食屋)をオープン。伝統を重んじるドイツにおいて、ノイマン一家は生粋の“シャルカー(※シャルケの人間)”として知られていた。

 公開練習の多かった同クラブはトレーニング場に足を運ぶファンも多く、夏休み期間など時期によっては1日に1000人以上が訪れることも決して珍しくない。そんな彼らにとってそのインビスは、小腹を満たす重要な役割を果たしていた。

 しかし昨年10月、監督がイェンス・ケラーからディ・マッテオに変わると状況が一変する。現役時代、そして指導者になってからも主にイングランドで活躍したディ・マッテオは、シャルケに英国スタイルを持ち込み、練習を原則非公開とした。また公開練習の際も、上述のこれまで使用されていた“インビス付き練習場”ではなく、かつて同クラブが公式戦に利用していた旧スタジアム『パーク・シュタディオン』を利用するようになった。

 客足が遠のいたことで閉店を余儀なくされたノイマンは、大衆紙『ビルト』に対してこう語っている。

 「残念だけれど、もう経営が成り立たないんだ。練習にみんなが来なければ、私もインビスを開ける必要がないからね…」

 ちなみに同紙によると、練習場を挟んでこのインビスと対角線上にあるファンショップも売り上げが激減しているとのこと。

 非公開練習の増加で選手との距離は遠ざかり、来季の欧州チャンピオンズリーグ出場権を獲得できず、そしてクラブレジェンドの血を受け継ぐ名物インビスも閉店。

 ファンのクラブに対する不信感は募る一方だ。