昨シーズンのリーグ戦終了後、ブンデスリーガ16位ハンブルガーSV(HSV)は、ブンデスリーガ2部3位に入ったMF山田大記のカールスルーエと入れ替え戦で激突した。前者のホームで行われた第1戦は1-1の引き分けに終わり、後者の本拠地で開催された第2戦は延長の末HSVが2-1で勝利。結果、同クラブは53年連続で1部の舞台に留まることが決定したが、この歓喜と安堵の2試合が原因で、選手とクラブの間にはちょっとした軋轢(あつれき)が生まれてしまったかもしれない。

 専門誌『スポーツビルト』によると、HSVはブンデスリーガを運営するドイツ・フットボールリーグ(DFL)に、「厳密に言えば、入れ替え戦は『ブンデスリーガの試合』に属するのか」を照会したという。理由は、同クラブが「ブンデスリーガの試合に出場したら別途手当がもらえる」という但し書きを、選手との契約に盛り込んでいるためだ。

 ディートマール・バイヤースドルファーCEOの話によれば、HSVは出場給の取り決めに関して「公式戦」と「ブンデスリーガ」の2つに分けてあるという。ひとまず、カールスルーエとの2試合が公式戦であったことは間違いないが、しかしこの入れ替え戦は、DFLから「ブンデスリーガには当たらない」とされた。おそらく同クラブの契約では「ブンデスリーガ出場」は「公式戦出場」よりも高いボーナスが設定されているのであろう。HSVはこのDFLの回答により、30万ユーロ(約4000万円)もの出費を防いだそうだが、期待していたボーナスを減らされた感覚に陥った選手がいたであろうことは想像に難くない。

 ところで、HSVは一昨季のリーグ戦終了後もフュルトと入れ替え戦を行い、かろうじて1部残留を勝ち取ったが、その際にはこの手の話は出てこなかったと記憶している。選手がブンデスリーガ出場給と同じ額を要求したのか、それともクラブ側がキッチリとしておきたかったのかは分からない。ただし、ドイツで最も伝統あるクラブの1つとして知られるHSVが、入れ替え戦という状況に少しだけ慣れてしまったのは確かなようである。