ドルトムントやレアル・マドリードなどでプレーした後にシャルケへ移籍し、2013年夏に同クラブで現役生活にピリオドを打った元ドイツ代表DFクリストフ・メッツェルダー氏が、1人のファンに助けられていた。

引退後から現在までCS放送局「Sky」で解説者を務めている同氏は先週末、日本代表DF酒井高徳のハンブルガーSV(HSV)対DF内田篤人が所属するシャルケの試合中継に出演するためハンブルクに向かっていた。ところが、大衆紙「ビルト」によると、メッツェルダー氏がハンブルク中央駅に到着する予定だった数十分前、同市内を飛んでいた広告用飛行船が駅の架線に落下。これによりハンブルク発着の電車が数時間運休する事態となってしまった。

 その時メッツェルダー氏はハンブルクの南20kmに位置するブーフホルツ駅まで来ていたが、電車は上下線ともにストップ。その場にたまたま居合わせた3人のシャルケファンと下車し駅周辺を探したが、近辺にタクシーは見当たらなかったという。

しかし、捨てる神あれば拾う神あり。途方に暮れていた4人の前に通りかかったのは1人のHSVファンだった。

 メッツェルダー氏はビルト紙に対し、こう答えている。

「トーマス・カーステンスという名のHSVサポーターがたまたまこちらに気付いてくれて、僕だけではなく3人のシャルケファンまで彼の車に乗せてくれたんだ。ハンブルク近くの駅まで運んでくれて、そこからはSバーン(※鈍行電車)とタクシーでスタジアムにたどり着くことができたよ」

 しかも同氏によれば、「トーマスはSバーンの乗車チケットもプレゼントしてくれた」そうで、「彼の好意は本当にありがたかった。リーグ後半戦に(シャルケのホームで)行われるシャルケ対HSVの試合に彼を招待するつもりだ」と、粋な恩返しをするつもりだという。

 まだ現役だった2006年に自ら財団を設立し、常時10以上の慈善活動に携わっている“人格者”メッツェルダー氏。「他人にあげた好意は、いつか必ず返ってくる」というのは、やはり真実であるようだ。