現在ウォルフスブルクと勝ち点で並び8位につけている日本代表FW武藤嘉紀のマインツ。先週末に行われたブンデスリーガ第19節では、今季チャンピオンズリーグにも出場した強豪ボルシアMGを相手に1-0で勝利を飾るなど好調を維持し、残留争いとは無縁の日々を過ごしている。


 その理由は、とにかく彼らが「走る」からだ。今シーズンここまでの1試合平均走行距離118.79kmはリーグトップの成績で、前節記録した125.2kmという数字も今シーズン全18クラブで最多。さらにボランチを務めるMFデニー・ラッツァは、そのボルシアMG戦で13.8kmを走り抜き、ブンデスリーガがデータを取り始めて以来、マインツの所属選手としては過去最高となった。


 対戦相手に走り負けない秘密について、マーティン・シュミット監督は大衆紙「ビルト」にこう話している。


「サッカーは、何度もスプリントを繰り返し行うスポーツだ。マラソン選手のように90分間走り続ける一方で、最初の10mを爆発的なスピードで走ることも求められる。その中間を取るようにトレーニングするのがコツだ」


 では具体的にはどういうことだろうか。練習場で必ずストップウォッチを手に持つという同監督によれば、「正確に時間を計りながらトレーニングをする」ことが肝心なようで、例を挙げると「1分間に9回スプリントが求められるようなトレーニングをやったら、その次は9分間という長さのトレーニングを行い、体に全く別の刺激を与える。そして休憩時間を計ることも大事だ。これは長すぎても短すぎてもいけない。効果がなくなってしまうからね」とのことらしい。


 ただし負荷をかけすぎてしまうと、試合中は疲労感に襲われ、満足な動きができなくなる。そのため「キツい練習を課すのは火曜と水曜だけ。木曜は一呼吸置く日にして、金曜もあまり走らせない」ように、1週間のメニューを組み立てているそうだ。


 「走る」というサッカーの基本に忠実なマインツ。彼らの快“走”劇が今後どこまで続くか見ものである。