今シーズン、ブンデスリーガ3部から同2部に昇格するデュナモ・ドレスデンが、ドイツサッカー連盟(DFB)から罰金2万ユーロ(約233万円)の支払いを命じられた。


 4月30日のブンデスリーガ3部第36節、ドレスデンが同じザクセン州に拠点を置くライバル、エルツゲビルゲ・アウエをホームに迎えた試合で、ドレスデンのファンは豚の形をした大型バルーンをスタジアム内で飛行させた。ただし、その豚はアウエのチームカラーである紫であり、その目は「やられた」と言わんばかりにバツ印。ドレスデンファンは、好敵手に対してジョークをぶつけたつもりだった。


 そして、この冗談は敵陣にも受け入れられており、大衆紙「ビルト」によると、ドレスデンに乗り込んだアウエ・ファンのうち、バルーンを眺めて笑っていた者は少なくなかったという。


 だが、DFBの見解は違った。同連盟はこれを“粋なジョーク”とは認めず、アウエに対してドレスデンが犯した侮辱行為と断定。冒頭に記したように、多額の罰金を科している。


 では、DFBから“被害者”と見なされたアウエ側はどのような感想を持っているのだろうか? 同クラブのヘルゲ・レオンハールト会長は、ビルト紙にこう話している。


 「DFBが定めた罰則のことはよく分からないが、両チームファンの素晴らしい応援があり、試合内容も非常に良いものだったと、個人的には思っている。それにドレスデン戦を1-1の引き分けで終えたことで、我々もブンデスリーガ2部への昇格を確定することができた。だからあの豚のバルーンは、我々にとって幸運の豚だ」


 日本に豚の貯金箱があるように、ドイツでも豚は貯金箱や置物として使用されており、富や幸運をもたらす動物と考えられている。またレオンハールト会長によれば、アウエのスポンサーの中には、2部昇格をもたらした象徴として、ドレスデンで使用された豚型バルーンを購入したいと言っている者すらいるという。


 日頃から過激さが有名で、これまでに何度も罰金の対象となっているドレスデン・ファンが行ったことだけに、通常よりも重い罰が与えられてしまったのかもしれない。