ブンデスリーガ初昇格ながら、依然として2位の座をキープしているライプチヒ。もちろん、大手飲料メーカー「レッドブル」から流れてくる潤沢な資金が、彼らを支えているのは間違いない。しかし、同クラブでスポーツディレクターを務めるラルフ・ラングニック氏が過去に培った経験も、彼らが大崩れしない要因の1つであるようだ。

 ラングニック氏はホッフェンハイムの指揮官だった2007-08シーズン、同クラブをブンデスリーガ1部に初昇格させただけでなく、その翌季にはドイツ最高峰の舞台でいきなりヘアプスト・マイスター(直訳で「秋の王者」。シーズン前半戦を首位で終えたクラブのことを指す)も獲得。ところが、年明け後の後半戦は4勝8分5敗と振るわず、結果的に7位まで順位を落とし、1年間の戦いを終えている。

 同氏は、先日行われた一般紙「ツァイト」とのインタビューで、その時のことをこう話している。

 「それまであったチームの一体感は急に減少し、選手たちは準備を怠るようになり、サッカー以外のことに目を奪われるようになってしまった。おそらく彼らは多かれ少なかれ、『自分の地位が高くなった』と考えるようになってしまったのだろう。なにしろ、ホッフェンハイムで初めてフェラーリが走るようになったのだからね。それまであの村では、まったく見られなかった光景だ」

 同じ轍は踏まない-。新天地ライプチヒでのラングニック氏は、育成年代からプロにいたるまで、選手に様々な制約を課し、それを契約条項に盛り込んでいる。例を挙げるとすれば、ライプチヒではいわゆるサラリーキャップ制が導入されており、トップチームでの年俸は300万ユーロ(約3億6000万円)が上限。そして同氏によれば「新加入選手の給料が、古株選手のそれを上回ることは基本的にない」という。車についても、選手らはチームから与えられた社用車に乗ることが義務付けられ、フェラーリで練習場に来ることなど、もってのほかなのだ。

 おそらく今季のライプチヒは、「歴代最高の昇格クラブ」として後世に語り継がれていくことだろう。そしてその背景には、ホッフェンハイムでの失敗から学んだ敏腕SDのチーム操縦術があることも、忘れてはならない。