昨年夏、ジョゼップ・グアルディオラとともにバイエルン・ミュンヘンを去ったマルクス・ヘルウィック元広報部長が、ミュンヘン・スポーツジャーナリスト協会で行われた基調講演に出席し、現在マンチェスター・シティで指揮を執っている前監督について語った。

 Bミュンヘンのユースでプレー経験があるヘルウィック氏は、1981年から同クラブの広報で勤務を開始し、今も出版されている広報誌「バイエルン・マガジン」を初刊行。1983年にはブンデスリーガ初のクラブ専属報道官となり、以後33年間の長きにわたってBミュンヘン広報部のトップを務めてきたが、2016年7月、「まもなく60歳になる」ことを理由に、ドイツ最大のメガクラブを離れていった人物だ。

 そんなヘルウィック氏から見ても、やはりグアルディオラだけは別格だった様子で、先述の講演会で同氏は「過去にBミュンヘンで監督を務めた誰よりも、ペップはレベルが2つも上だった。彼は天才だ」と話している。

 ただし、グアルディオラ政権下でのBミュンヘンは、ブンデスリーガ3連覇、2度のドイツ杯優勝を果たすなど、国内では向かうところ敵なしの状態だったが、欧州CLでは3シーズン連続で準決勝進出を果たしたものの、いずれも決勝には未到達。2001年のオットマー・ヒッツフェルト、2013年のユップ・ハインケスに肩を並べることはできなかった。

 その理由についてヘルウィック氏は、こう話している。

 「ペップは天才だが、人々は彼のために身命を賭することをしなかった。ハインケスやヒッツフェルトのためには、みんなが身命を賭していたんだ。だから彼ら2人は成功を勝ち取ることができた。若い監督は間違いを犯すものだ。そしてペップがBミュンヘンにやってきた時、彼はまだ監督業を始めて6年しか経っていなかった」

 なぜ、グアルディオラ率いるBミュンヘンはCLの頂点に輝くことができなかったのか-数多の指揮官を間近で見続けてきたヘルウィック氏は、経験の差、そしてチームを結束させる力の差が、結果を分けたと分析しているようだ。