バイエルン・ミュンヘンの元スカウト、ビョルン・アンデルソン氏が育成年代で行われていた黒い取引について語っている。

 アンデルソン氏は1974年から3年間、“皇帝”フランツ・ベッケンバウアー氏、“爆撃機”ゲルト・ミュラー氏、ゼップ・マイヤー氏らとともにBミュンヘンでプレー。その後は祖国スウェーデンに戻っていたが、1990年代中頃から同クラブに復帰し、2009年まで下部組織のスカウトなどを担当していた。

 専門誌「スポーツビルト」によると、同氏は母国メディア「ルンド」に対し、こう答えたという。

 「Bミュンヘンでスカウトをしていた時、大金を積まれたことが何度もある。もしそれを受け取っていたら今頃、アドリア海の沿岸に豪邸をいくつも持っていただろう。あれはまるでマフィアのようなやり方だ」

 しかしアンデルソン氏によれば、この問題は「サッカー界における公然の秘密」であり、「ビッグラブの下部組織に関わっている者ならば、『この世界はきれい事だけではない』ということを、全員が分かっていた」という。ただし、同氏自身はこれに加担したことはないそうで、「代理人がやって来て『この選手をミュンヘンへ連れていってくれないか。そしたら引き換えにこれだけのお金を渡すから』と言われたが、でも私はBミュンヘンに勤務する身であるため、賄賂をもらったことは1度もない。もしそれを受け取れば、私は犯罪者になってしまうからね」と語っている。

 なお同氏は、過去に某代理人から取引を提案された選手の名も明かしており、その中には少年期のルカ・モドリッチ、ベドラン・チョルルカ、エドゥアルド・ダ・シルバらも含まれていた。くしくも3人はディナモ・ザグレブの出身であり、アンデルソン氏に取引を申し出たこの代理人は、同クラブと強いパイプを持っていたと予想される。

 現在FIFAは未成年の移籍に関して厳しく規則を定めており、それによって人身売買に近い話を聞くことは少なくなった。しかしそれ以前までは、アンデルソン氏が話したように、半ば無法地帯という状態だったようだ。