6日に欧州CL1次リーグ第6節が開催され、G組3位のライプチヒはホームで首位ベシクタシュ(トルコ)と対戦した。他会場で試合を行う2位ポルト(ポルトガル)を上回る結果を残せば決勝トーナメント進出も可能だったが、残念ながら1-2で敗れてしまい、「欧州CL初参戦での16強入り」という夢は、はかなく散ってしまった。


 しかしスタジアムに詰めかけた4万2558人のライプチヒファンにとって、この試合は特別な意味を持つものになった。後半29分、MFケビン・カンプルに代わってグラウンドに姿を現したのは、ファンの寵愛を受けるMFドミニク・カイザー。これまで、MFアンドレアス・ランベルツ(現デュナモ・ドレスデン所属)がデュッセルドルフで4部リーグからブンデスリーガ1部までの昇格&出場を達成したことがあったが、カイザーはさらにその上を行き、ドイツサッカー史上初めて、同一クラブで4部から1部、そして欧州CLまでを経験した選手となったからだ。


 試合後、カイザーは29歳の中堅選手らしく、落ち着いた表情で試合をこう振り返っている。


 「本当はもっと前の節で試合に出場したかったけどね。でも、今も本当に幸せだよ。交代出場してからは、持てる力のすべてを出し切ることしか考えてなかった。ファンのみんなも僕の出場をいつも喜んでくれるからね」。


 しかし大衆紙「ビルト」によれば、ライプチヒでのカイザーの将来は不透明だという。同選手の契約は今シーズン終了までとなっているものの、今のところ延長の話は出ておらず、今季のブンデスリーガでも出場はわずか3試合。いずれも後半35分以降という非常に限られた出場時間だ。「もちろん今の状況に満足はしていない。だから今後のことも考えている。ただし『シーズン後半戦にはもうライプチヒにいない』なんてことはまだ言えないし、分からないよ」という彼の言葉は、紛れもなく本心から出たものだろう。


 仮にカイザーが移籍という道を選ぼうとも、ファンはカイザーの現状と考えを尊重し、きっと温かく見送るはず。なぜなら彼は、クラブの屋台骨として3度の昇格と欧州カップ戦出場権獲得に貢献した、ライプチヒの「カイザー(皇帝)」なのだから。