10年後、20年後の成功を掴むため、次世代の才能を発見・育成することに励んでいるドイツサッカー連盟(DFB)。彼らが新たに目をつけた選手は、オランダにルーツを持つ11歳の男の子だった。

 9月上旬、ハンブルク北西の町ルーゲンベルゲンで、トレセンの選抜試験「Tag der Talente(直訳:「タレントの日」)」が行われ、そこに姿を現したのは、かつてハンブルガーSVで司令塔を務めていたMFラファエル・ファンデルファールト。現在デンマークのFCミッティランでプレーする同選手のお目当ては、愛息子ダミアン君の様子を見学することだった。

 オランダ代表100試合以上に出場した父親を持つダミアン君は、ファンデルファールトと同国のTVタレントであるシルビー・マイスさんとの間に生まれ、シュテファン・エッフェンベルクも少年時代に過ごしたハンブルクの名門アマチュアクラブ、SCビクトリアのDユース(13歳以下)に現在所属している。

 大衆紙「ビルト」によると、候補者250人の中から選ばれ、見事トレセン参加資格を得たダミアン君は、所属クラブの練習とは別に、当地トレセンで週1度、他の合格者たちとサッカーに勤しんでいるという。

 ハンブルク市サッカー協会のトレセンコーディネーターを務めるシュテファン・ケルバー氏は、未来のドイツ代表候補について、こう賛辞を送っている。

 「ダミアンは、その柔らかいボールタッチが特に際立っており、視野も広く、敵陣深くのスペースを見つける能力に長けている。ダミアンがここにいるのは、彼の父親が有名だからではない。このポジションは、彼が自分で作り上げたものだ」

 しかし、ファンデルファールトがビルト紙の取材に「もちろん息子のことは誇りに思っている。でも、まだ彼のような子どもにはプレッシャーをかけるべきではないね」とコメントしたように、ダミアン君はまだ1人の少年。周囲の雑音に影響されることなく、まずは純粋にサッカーを楽しむことだけに専念してほしい。