ブンデスリーガ史上最年少監督という肩書を持ち、ホッフェンハイムをクラブ史上初の欧州チャンピオンズリーグ本戦出場に導いたユリアン・ナーゲルスマン監督が、ロシアで開催されたワールドカップ(W杯)について持論を語った。

 専門誌「スポーツビルト」によると、アルプス山脈にほど近いドイツ南部ガルミッシュ・パルテンキルヘンでの1次合宿終了後、W杯について聞かれた同監督は「そこまで多くの試合を見たわけではない」と前置きしつつ、「私が見た試合はあまり魅惑的な内容ではなかった」とバッサリ。「クロアチアやベルギーは部分的に素晴らしい試合をしていたが、90分間まるまるその内容をキープしていたわけではない。(相手の長所を消すような)“破壊的な”戦術ばかりが目についた」と、サッカー本来の芸術的側面がW杯から失われつつあることを危惧している。

 そして「W杯では美しいサッカーに焦点が当てられ、行き過ぎたプレッシャーを感じないような大会だと思っていた。しかしヨアヒム・レーウ監督にまつわる報道を目にして、信じられないくらいどんどん大きくなっていくプレッシャーにさらされていたのだと実感した」とし、サッカーの祭典であるはずのW杯がネガティブな方向に向かっていると感じたという。

 また一般的には「W杯優勝国のサッカーが、向こう4年間の潮流を決定する」と言われるが、「今大会における新しい戦術は事実上ほとんど見られなかったし、フォーメーションもほとんどのチームが4-2-3-1、もしくは4-4-2。“完全なる目新しさ”は今回のW杯になかった」と語り、同時に「だが必ずしも新しいトレンドが誕生しなければならないのだろうか? 私はそうは思わない。古くから確立されたものでも、より魅力的にすることは可能だ」と断言した。

 選手を高いレベルに鍛え上げ、全員が連動する攻撃的なホッフェンハイムを作り上げたナーゲルスマン監督にとって、今回のW杯は少なからず寂しさを覚える大会となったのかもしれない。