<欧州選手権展望:ドイツ-ギリシャ>◇準々決勝◇22日◇ポーランド・グダニスク

 ドイツは72、80、96年と最多3回の優勝を誇り、今回も優勝候補らしく1次リーグを3連勝と、順当に勝ち上がってきた。ギリシャは地元ポーランド相手に1人少ない状況から引き分けたり、最下位から難敵ロシアを下して2位通過と、04年優勝時と同じく「ミラクル」を予感させている。ひと昔前なら肉弾戦になりそうなカードだが、今回の対戦は攻めのドイツVS守りのギリシャになるとみられる。

 ドイツはFWゴメスが3得点と好調だ。MF陣はエジルを中心にポドルスキ、ミュラー、シュバインシュタイガーらがチャンスメーク。FWクローゼという経験豊富な「スーパーサブ」もいる。

 04年時のギリシャは完全な堅守速攻型で、今回は攻撃も磨いての出場のはずだったが、初戦で主力DFの負傷離脱、ドイツ戦ではカラグニス主将が出場停止でもあり、「原点」に戻ることになりそうだ。04年メンバーで主将代行となるカツラニスは「一発勝負だからこそチャンスはある」とし、カラグニスは「団結した時の我々は強い。国民を喜ばせたい」と、精神面の強さを強調する。

 ドイツも相手が守備的にくることは想定済みで、ミュラーらは「我慢強さが大事」と話している。先発の平均年齢は24歳と若いチームながら、ここまでは試合運びのうまさが際立つ。セットプレーやミドルシュートなどで、引いた相手をどう崩すかも注目だ。そんな中、レーウ監督は守備に不安を抱える。デンマーク戦では中盤とDFラインの間が間延びし、そこを突かれた。「ギリシャもデンマークと似たチーム。数少ないチャンスをものにしてくるので、修正しなければ」と話していた。

 両者の対戦は過去8回あり、ドイツが5勝3分けと不敗。直近の対戦は02年W杯予選で、ホーム&アウェーともドイツが勝利しているが、ギリシャが「変身」したのはその後だ。また、“場外編”としては、現在の欧州経済における両国の緊張状態が取りざたされている。