2018年の次回サッカーW杯のホスト国ロシアは、国際サッカー連盟(FIFA)の汚職事件が自国開催権の剥奪につながることに警戒を強めている。敵対する米国主導の捜査に、プーチン大統領は米国の陰謀論も持ち出し始めた。

 「ロシアでW杯を開催させないよう、ブラッター会長に圧力がかかっていた」「ブラッター氏を再選させないためであることに疑いはない」。プーチン氏は27日夜、米国は捜査を通じロシアの面目をつぶす意図があると強調した。

 スイスに本部があるFIFAへの捜査について「米国で起きたことではなく、関係ないはずだ。他国に自分の管轄権を適用しようとする露骨な試みだ」と不快感をあらわにし、ブラッター氏が米国の政治的思惑の犠牲になっているとの考えを示唆した。

 プーチン氏が反発する背景には、これまでロシア主催の国際スポーツ大会が米国を中心とした勢力に妨害されてきたとの思いがある。1980年のモスクワ五輪は西側諸国がボイコット。昨年2月のソチ五輪では、同性愛者を抑圧するロシアの人権政策を批判した欧米首脳がソチ入りを拒否した。

 今回のW杯もウクライナ危機を受け、ロシアの開催権剥奪論が既にくすぶっている。下院のレビチェフ副議長が「国際社会でのロシアの信用をおとしめたいのだ」と語るなど、ロシア国内では今回の捜査を危惧する声が噴出している。