汚職事件で激震が走る国際サッカー連盟(FIFA)は29日、スイスのチューリヒで開いた総会で会長選挙を行い、現職のゼップ・ブラッター会長(79=スイス)が、アリ・フセイン王子(39=ヨルダン)を破って5選を決めた。

 FIFAの閉鎖性や腐敗体質に対し、かつてない批判の声が上がる中、長期政権を維持したブラッター会長が今後、巨大組織をいかに改革するのかに厳しい目が向けられる。

 投票には加盟全209協会が参加。ブラッター会長は1度目の投票では当選に必要な3分の2に届かない133票にとどまった。現体制批判派の受け皿となったアリ王子が73票を集める健闘を見せたが、過半数の得票で当選が決まる2度目の投票を前に辞退した。ブラッター会長は「FIFAを強くして自分の後継者に引き継ぐ」と、任期が満了する4年後に退任する意向を表明した。

 27日に現職の副会長を含む14人が起訴された。FIFAは大手協賛企業から相次いで組織改革を求められ、英国のキャメロン首相もブラッター会長に対し「辞任すべきだ」と語るなどサッカー界以外からも圧力が強まっていた。

 逆風の中での選挙を余儀なくされたが、54協会加盟のアフリカ連盟(CAF)や日本を含む46協会のアジア連盟(AFC)などに広げた支持基盤を生かし、組織改革を求める欧州連盟(UEFA)が支持したアリ王子を退けた。

 ブラッター会長は勝利の喜びで顔を紅潮させ「次の4年間を任せてくれてありがとう。FIFAという名のボートをしっかりと浜辺へ導く」とあいさつした。

 30日には新体制発足後初の記者会見が行われる。