夢を夢で終わらせない。プレミアリーグ・レスターへ移籍する日本代表FW岡崎慎司(29=マインツ)が29日、羽田空港着の航空機で英国から一時帰国した。世界最高峰のリーグに挑戦するため、現地で正式契約をかわし戻ってきた。日本人選手だけじゃなく、世界的にも鬼門と言われる舞台に真っ向勝負で挑む。自信の裏付けとなる評価を直接聞き、ストライカーとして新天地イングランドでのサッカー人生を切り開く。

 早朝に降り立った岡崎は、すでに夢から覚めていた。来季からチャレンジする新天地はプレミアリーグ。挑戦権を得て日本に戻ってきた。クラブ間合意を待って、極秘渡英からわずか5日。メディカルチェック、正式サイン、発表を経て「プレミアは夢」と言っていた舞台が現実のものになって帰ってきた。

 岡崎 世界的な選手も多くいて、入れ替わりが激しいリーグ。トップにいく選手しか生き残っていけない。そんな困難があるから移籍しようと思った。何が起こるか分からない。苦しいところでもがいて、もっと大きい自信を手に入れるめったにないチャンス。

 あえていばらの道を突き進む。日本人初のブンデスリーガ2年連続2桁ゴールで得た自信を、さらに大きくするために選んだ道。ドイツに比べ、プレミアで安定して出場してきたのはサウサンプトンDF吉田のみ。特に日本人FWにとって「鬼門」と言われていることには興味さえ示さない。

 岡崎 あんまり知りたくない。行って目の前で起きたことを反省したいから。日本人が活躍できないって、みんなの臆測だと思う。激しさが違うし、日程もタフ。30点取る選手も少ない。ビッグ選手のコメントを見てもプレミアは1つの鬼門。日本人だけじゃなくて、他の選手も難しいと言っている。行ってみないと分からないし、行って活躍できればまた何かを伝えることができる。(鬼門を)覆すことができる。

 11年ぶりのプレミアでクラブ史上初めて残留したレスターの今季全試合を映像で見た。守備的に戦いながら早い切り替えで攻撃を仕掛ける速攻型。2シーズンで27点取ったマインツと似たスタイルだ。契約書にサインをする前に、レスターのウォルシュコーチからこう言われた。「そういう(攻撃ができる)選手を探していた。だから1年間ずっと君を追い求めていたんだ」。評価とスタイルの合致。レスター入りの決め手となった言葉だった。

 つかの間のオフを過ごし、チーム合流のため7月上旬には再び渡英。日本人FWがこじ開けられなかった鬼門との戦いが、待っている。【栗田成芳】