プレミアリーグ・レスターに新加入した日本代表FW岡崎慎司(29)が24日、入団記者会見に臨んだ。すでにチームに合流しており、21日にはイングランド5部リンカーン戦に出場。その際に背負った背番号20が新天地での番号に決まった。

 以下は会見の全文。

 -入団の経緯

 岡崎 冬と去年の夏にもオファーをもらっていて、自分もプレミアという新しいリーグにチャレンジしたいという思いがあった。自分の夢であったし、新しいリーグに興味があった。すごく小さいころから見ていたリーグだし、リーグ自体の質がブンデスとは違うってのはあるかなと思う。

 -あこがれのプレミアにきた率直な気持ちは 

 岡崎 監督も変わったし、また新たな自分を発掘できる楽しみがある。ここで実績を積んでいる選手もいるし、そこに勝っていかないといけない。29歳にして新人じゃないですけど、またチャレンジできるというのをかみ締めている。

 -プレミアのあこがれとは

 岡崎 小さいころだったのでよく覚えていないがど、パワフルというイメージがあって、ビッグクラブが4、5チームあって、リーグ全体を通して激しいというイメージがある。ドイツ人に聞いても、プレミアの選手の体つきはすごいと聞いていたし、やっぱりより個人の能力が高いリーグなのかな、と。戦術とかではなく、選手1人1人の質が高いイメージがある。

 -ピアソン監督解任を知ったのは

 岡崎 自分がサインしてから決まった話。自分の中では、もともとプレミアはそういうところというか、入れ替わりが激しい、選手も監督も入れ替わりが激しいし、より結果だったり、いろんなことがおこりえるリーグだと分かっているので、これもまた1つ自分に与えられた試練というか、これがプレミアなんだなって、サインして4日後に感じた。

 -サインした時のレスターの印象とは

 岡崎 阿部さんがここにきたときの話を阿部さんから聞いていた。街は小さいけど雰囲気はよくて、チームメートもファミリーというか、色んな人にあったけど、その色合いが強いかなって。プレミアはビッグクラブがあって、入れ替わりが激しいチームが多い中で、レスターはどっちかというとファミリーというか家族という意味合いを持っているなって。人のよさを感じていたというか。

 -ラニエリ新監督の印象は。これまでのドイツと比べて

 岡崎 長友が一緒にやってたりとか名前は聞いたことがあるし、強豪で監督をやっていたとか、そういうイメージがある。最初に会ったときはいい人という印象。すごく話しかけてくれるし、プレー中もポジティブな声かけも多いので、とにかくモチベーションをあげようとしてくれる監督なのかなというのが今の印象。スタートしたばかりなので、まずついていかないといけないし、自分をアピールもしていかないといけない。

 -チームメートたちの印象は

 岡崎 体がひとりひとりがデカイと感じる。プレーしていても、ボールをブンデスのように相手に体をぶつけながらドリブルしていたら、体が強いからコントロールを失う場面もある。チームメートの能力も高い。ただ、印象としてはマインツと同じで、プレー中に文句を言ったりとかはなくて、ポジティブというか、ミスをしても切り替えてというか、いい雰囲気の中でサッカーができていると感じる。

 -今季の目標は昨季より1ポイントでも多く取ることと監督は言っているが、チーム、個人の目標は

 岡崎 チームは前回よりも上に行きたいと思っているし、そのために自分が呼ばれたと思っているので、自分がきたからには、1つでも昨季より上に行きたいと思う。自分としても、さっきは新人という思いがあるっていいましたけど、求められているのはゴールで、献身性とか評価されているかもしれないけど、自分はゴールをとりにプレミアリーグに来ている。数字は言わないが、やっぱり大事なところで点を取れる選手になりたいし、日本代表でも決定力不足、得点力不足といわれるのを自分が解消したいと考えているので、このチームで新しい感覚を身につけて、このリーグで点を取れるコツというのを見つけたいと思う。

 -シーズンに入る中で、対戦したい相手とか、あこがれていた選手は

 岡崎 あまり個人的にはそういうのはなくて、このリーグを体験したいというのが率直な今の意見。何ができるのかを1年間通して見つけたい。

 -今季、どれぐらいのゴールを決めたい?

 岡崎 あんまりないので、数字の理想はないんですけど。ただ、このチームに取って、1試合1試合の勝ちというのが非常に大きくなってくるので。そういう大事なところでゴールを決めたいなと思います。

 -合流して間もないが、地元のファンに接してみて

 岡崎 まだ正直、ファンの方と会ってはいないが、やっぱりレスター市内で声をかけられることもあるし、クラブハウスの前で子供たちが待っていたりする。チームために、自分が結果を出したいなと思うようになりました。

 -地元のファンのために、英語でメッセージをお願いできますか?

  岡崎 いや、それは…(笑)。ちょっと困りますね。

 -ファンの方々とは英語で?

 岡崎 一応、そうですね。サインを書いたりするぐらいなので、今は。1年後、2年後とちょっとずつやって行けたらいいなと思いますけど。

 -プレミアには吉田麻也選手もいるが

 岡崎 連絡は取っています。チームの新人選手は歌を歌わされるというのを聞いていて、これかと思った。本当に体が強い印象の中で(吉田が)プレーできているのは、年下だけどすごく尊敬している。僕は新人ですけど、何年もやっている。負けないように活躍できればと思う。

 -FWで活躍した日本選手がいない。どうクリアする?

 岡崎 自分としてはそれを見つけに来た。何が通用して何が通用しないかは、行った人にしか分からない。たとえばマインツで1トップという居場所を見つけた時のように、また違う居場所を見つけるかもしれない。そういうことにワクワクしている。何かにこだわるのではなく、いろんなものを捨ててここに来たので、もう一度いろんなものを取り入れたいと思う。このチームで自分が輝ける場所を見つけたいという思いがありますね。

 -ドイツで欧州CLに出場するようなチームからオファーがあったという報道があった。それでもあえてプレミアに来た。選手として体験したいという思い? 怖さはなかった?

 岡崎 プレミアリーグは誰しもが行ける場所じゃない。一度その機会を逃すと、行けない可能性が高くなる。それが自分に取っては鍵。プレミアリーグに行くチャンスは、誰もがつかめない。ブンデスリーガから行った選手も苦労している。そこには何か難しい事があるんじゃないか。もしそれをクリアしたら、自分の可能性が広がるんじゃないかなと。単純に考え抜いて決めたわけじゃなく、本当に感覚ですね。チャレンジしたいなという自分の欲望で決めました。

 -ラニエリ監督がプレミアリーグは世界一のリーグと言っていた。選手の中でもそういう意見は強い?

 岡崎 そういう話はもちろん出るが、ドイツが一番と言う選手もいる。それは個人の意見で、僕もプレミアが一番だとは思っていない。でも単純に、名前を挙げればきりがないほど有名な選手がプレーしている。僕は昔から見ているので、そこで僕も活躍したい。そういう興味ですね。

 -イングランドはサッカーの発祥の地で、ボールの奪い合いっていうのが前提にあって、プレーする側としては、怖さがあるサッカーだと思うけど、そういうところも惹かれる?

 岡崎 たとえばリンカーンと練習試合をしたときも「そんなので転ぶのか」というのを感じる。ファウルだろうという感覚を狂わされるし、そのハードルをクリアしたいと思う。もしかして、そのフィジカル以上に、何か自分が通用する部分が出てくるかもしれない。そこを突破しないと、自分の限界を突破できかもしれない。

 -自分のサッカーレベルがもう一段上がる予感がある?

 岡崎 ホント感覚ですけどね。でもこれは、人によって違うと思う。色んな日本人の選手と話をしても、プレミアリーグは一度行ってみたかったって言う人もいますし、そういって自分を応援してくれる人もいます。日本代表としてもそうですし、今後これからもプレミアに来れるような活躍ができたら、日本の子供たちにも希望を与えられるんじゃないかなって。そういう思いでブンデスリーガでもプレーしてた部分もあった。またそれを開拓できれば。ただそんなに簡単ではないかなって、今の時点でも思います。

 -簡単じゃないと言いましたが、一番の違いは?

 岡崎 激しさもそうですし、どのリーグと比べても、(選手の)入れ替わりが激しいと思う。勝ち残っていくには、結果を出すしかない。何も自分を知らない状況のところにいくので、自分から開拓していかないといけない。プレシーズンの間に、アピールすることができれば、チャンスをつかめると思います。

 -会見時にラニエリ監督は岡崎君のことを割とよく知っている印象でしたが、自分は目をかけられているという意識がある?

 岡崎 もちろん、良く言ってくれていると思う。でも見てくれてるっていうのはすごく感じます。プレーの特徴を分かっていて、簡単に落として、危険なところに飛び出していけるというのを話してくれた。でも何も保証はされてないですし、どの選手も保証をされていない。フラットなラインから自分が抜け出せる可能性はあると思います。

 -レスターは、ストライカーの人数は結構そろっていて、チーム内争いも厳しいと思うが、他の選手と持ち味が違うとアピールしたいところは?

 岡崎 ポジショニングとかその前の動きは、常に準備ができていると思います。それがすべてじゃなくて、外してシュートを打っても体を張ってくるディフェンスも多いわけじゃないですか。足に当てたりとか、練習もするわけですよ。そういうところで結果を出さないといけないと思います。ただチャンスを多く作り出せる可能性はすごくあると思います。マインツで成功した通り、1トップが成功するかっていったら、2トップだったり、トップ下だったりとかになるかもしれないけど、逆にシャドーストライカーっていう自分がエスパルス時代にやってたヨンセンの近くで動き回ってたっていうのを、もう一度ヨーロッパで覚醒させられるチャンスがあるんじゃないかなと。1トップだったら味方を生かしたりとか、自分が先に動いてっていうのがあるけど、例えば、2トップだったら、相手の動きを見て、自分が連動するっていうのは、自分の方ができると思う。でもそれは結果を出さないと何も評価されないっていうのは、ヨーロッパでは当たり前のこと。飛び抜けた選手っていうのは、(チーム内に)いるとは思わないし、みんな高いレベルのいろんな特徴を持ってて、誰が結果を出すかっていのが、勝負になってくると思う。だからこそ、自分にはチャンスがあるのかなと。

 -シュツットガルトの最後の方は悩みもあったようだが、今はその悩みも解消してストライカーとして勝負できるという感覚?

 岡崎 あの時はプレーの悩みではなかった。どう監督に見られているかという、そういうところを気にしていた。今はもうとにかく、自分がこのチームで、やれることをやって、(自分の最高の形を)見つけ出す作業をしなければならない。このチームに来て良かったなと思うのは、雰囲気も良くて、回りも自分を見てくれるし、探してくれるし、コーチもスタッフも、自分がストライカーという部分を見いだしてここに呼んでくれてる。自分も意見が言えるし、ストライカーでやりたいといえる。そういうところが最初から違うのかなと思います。

 -移籍はチームが変わるだけではなく、住居も環境も変わり、今回の場合は国も言葉も変わったが、そういう意味でレスターは住みやすく、サッカーに集中できる環境はあるか?

 岡崎 プレーをしている時は、いやな雰囲気というものが一切ない。みんなきつくても文句を言わない。みんなで頑張ってやっていこういうのは感じる。サッカーをやっていて、全く問題はない。大丈夫です。

 -そんなに違和感もなく移ってこれた?

 岡崎 もちろん違和感はある(笑) 緊張してしまうタイプなんで。まあそこはじっくり…。

 -広報官がけっこう英語をしゃべれると言っていたが?

 岡崎 いやそんなことはないです(笑) 自分からしゃべる分にはできたりはするんですが、友達のように日常会話ができるかと言えば…。コミュニケーションの取り方が(ドイツと)違うし、これは自分の性格ということもあります。でもチームに入っていくには、英語をしゃべれないといけないし、いろんなところでコミュニケーションを取る練習をしたいし、そういう意欲はある。ドイツでもそう思いましたが、言葉より自分が話すか話さないかで大事。ミスを、間違えたら恥ずかしい、どうしようと(引っ込み思案になることで)問題が生じるというか、コミュニケーション、いやだなとかなるのが、一番もったいないと思う。ただ僕もそうなりがちなんで、そういうところは、上手く順応するには、やっぱり(コミュニケーションを取ることが)必要かなと思います。

 -食事は口に合う?

 岡崎 まあ、まだあまりイギリス料理というか、そういうものはまだ食べていないんで。朝ご飯くらいですかね。イギリスの朝ご飯、がっつり食べてという感じです。でもいろんな食事が摂れるんで、大丈夫です。

 -この前の練習試合で背番号20番をつけていたが、シーズン中もこの背番号になるのか?

 岡崎 この前は、もうお前は20番だという感じ(笑) その前(背番号決める前)に監督が決まってなかったんで、新監督が来たら、1から決めるという話だったが、合宿行ったらもう20番渡され、もうこれだという感じ(笑)

 -それだけゴールを決めてくれってことかも?

 岡崎 ははは(笑) でもそれだけ決めれば本当に、レスターに恩返しができるとは思います。ブンデスでも取ってない点数なので。

 -20番に対しては?

 岡崎 背番号に対してはべつに、そういう(特別な)思いはない。もちろん代表の9番となると、うれしいと思う。クラブでは、どの背番号であっても、そこまでは…。

 -23はウジョアがつけているが?

 岡崎 いや、そんな別に(23へのこだわりは)ない。もちろん、ついたら縁起がいいとかなるかもしれないが、それをわざわざ、縁起がいいからといって取るというふうにはならないと思います。背番号に関してはそれほど興味はないです。

 -開幕まで2週間ほどになったが、開幕戦にプレーできる感触は?

 岡崎 (プレー)したいですね。本当に多くプレーしたいなと思いますね、今は。多くプレーして、このチームの一員になるということが、今やるべきこと。やっぱり、練習して、練習試合してというだけじゃ、このチームに入った、入り込んだという感じがない。やっぱり試合して、ゴールを決めて、チームのために走って、良くやったというものが出て来る。試合に出て、今日、勝って良かったという思いをしてチームの一員になれると思う。やっぱり開幕戦に出て勝つということが、自分にとっての一番最初の目標というか、そこでチームのためにやれることをやりたいなと思います。

 -4年という長い契約期間があるが、この4年での目標は?

 岡崎 さっきはゴールの数にこだわらないと言ったが、やっぱりこの4年のシーズンの中で、2桁いく年は作りたい。それがいつになるかは、もちろん早ければ早いほどいいが、そんなに簡単にはいかないだろうし、ただ2桁はいきたい。やっぱりここ(プレミア)で残したい。そういうのはありますね。