欧州の強豪4クラブによるプレシーズンの国際大会が開幕し、ACミランがBミュンヘンに0-3で完敗した。FW本田圭佑(29)は今季のベスト布陣とみられるメンバーがそろう中、トップ下で先発したが、守備におわれ見せ場なく、後半30分に交代した。

 試合後の取材エリアでのやりとりは次の通り。

 -完敗だった

 本田 想像以上の完敗になった理由は、同じ戦いで向こうの土俵で戦おうとしたところかなっていうのは感じます。

 -バイエルンとはCSKA時代も対戦している

 本田 向こうの土俵に立って、ポゼッションサッカーでこっちもつなごうとした時に、向こうのプレスの餌食にずっとなってたというところが、まあ今日の決定的な向こうとの技術の差。単純なプレスのかけ方。向こうはずっとこのメンバーでやっているのもありますし、こっちは新しく監督が入って来た。それをビビらずやってみたけど、結果完敗やったということです。

 -これがミランの今季目指す戦い方なのか

 本田 うん……。まあプレスは、そうなるんじゃないかなと思います。もちろん相手によって変える、大事な試合になれば変えるんだとは思いますけど。

 -CSKA時代に対戦して感じた差と、今日感じた差は変わったのか。

 本田 同じ土俵で戦わないと見えないことがあるので。逆にいい勉強になったなというのが、率直な感想です。2年前にやった時の衝撃とは全く違う。こっち(ミラン)の方が学ぶことが、やっぱり多いですね。

 -それはどんなことか

 本田 同じようなことができたらなと思いながら、こっちはできていなかったですよね? 向こうがうまいのは「なるほどそういう風に回したら嫌やねんな」というところ。

 -明日からの練習で何か違いが生まれるのか

 本田 やっぱり大きいですよね。こういうサッカーは普段の練習では感じることができない。それを実際にピッチで感じる、公式戦ではないにしても、向こうもテストを兼ねレギュラー争いもあって全力でやってきているわけ。ある意味(チームが)出来上がっている時期なんで。お互いにね。最高のプレッシャーの中やれたかなって感じているんで。ああいうプレッシャーを一つはがさないと。向こうも若干あそこで無理してプレッシャーをかけているのも分かっているんで。だからシンプルに攻めた方がスキはあるし、スペースはいっぱい後ろにあるんですけど、なんとかそこをね。ああいうしのぎあいでバイエルンを押し込めるのは、今はバルセロナだけなんじゃないかなって思うと、すべてが足りないですよね。

 -試合中は自分たちのやり方を貫こうということだったのか

 本田 個人的に、守備のやり方は後悔していない。個人的には2失点目、ガッツリ前に来るようになったヤツを3人で追っていって、後ろは追い切れてなかったんです。それはやはり前と後ろのコンパクトさがまだ足りない。チームの成熟度が足りないということだと思います。

 -トップ下のレギュラーに近づいているのか

 本田 今日の出来で作業がうまくいっているというのは、まあ言えないんですけど。でも、さっきも言ったように、やるべきことをやるしかないんで。明日、今日のバイエルンに勝てるわけではないんでね。うん。大事な試合に向けて、また全く違うミランを見せられるように、1つ1つ準備をしていくことしか今の段階ではできないんで。その積み重ねっていうのは、正しい方向に向かっていると思うし、これを続ければ当然試合に出続けるチャンス、ポジションというのは確保できるんじゃないかなという風には思ってます。

 -昨年のこの時期と状況が似ている

 本田 いや、全然違います。

 -同じ新体制だった昨季のこの時期との違いは

 本田 去年は点を取っている時も、なんかなっていう感じだったので。それはずっと試合の後にコメントしてきたと思うんですけど。逆に今はこの完敗からも、そこまで、ある程度向こうが上という話なので、あっさりしているというか、バイエルンがセリエAにいなくて良かったなくらいの感覚。我々はセリエAでチャンスがあると信じて、これから準備していこうと思います。

 -手ごたえがあると

 本田 そうですね。

 -新監督のミハイロビッチは

 本田 厳しい監督です。

 -サッカーの方向性は

 本田 守備はハードワークが必要とされる。自分がやっているポジションというのは、いろいろと走らないといけないなと思ってますけど。当然バイエルンを見てても守備の時にはしっかり走らないといけない決まりなので。ただ攻撃のところで、もうちょっと、ちょっとした距離で、パスコースをボールホルダーに対して2つ3つ(コースを)作るやり方、あと、ボールホルダーがその景色に対しての認識、この感覚は時間がかかると思うんですよね。そのへんはやっぱり、例えば代表の時のほうが信頼関係はあるし、球離れの速さというよりも。たとえば今日なんか僕も、結局詰まっている状態で受けに行って、(ミスして)自爆しているのも、お互いやっぱり信頼し切れないんで。ダイレクトで戻すこともできるんですけど、ダイレクトで戻されても次センターバックもじゃあ次どうすんねん? と話だから。ちょっと無理してみようかななんていうので、結局ボールロストしてしまう。ちょっとしたことなんですけど、その無理のリスクの取り方がバイエルンはうまくて、取りすぎず、楽しすぎず、で3人ぐらいがちょっとリスクを負って、4人目で完全フリーみたいな。でもちょっとはリスクを取らないといけないので。ただそのバランスが、取ってない選手と取る選手がミランは偏りすぎているから、はがしきれない。まあ、バイエルンのあのプレッシャーをはがすのは難しいですけど。

 -トップ下だったらより関与できる

 本田 いや、でも本当はあんな詰まってるところにもらいに行ったらダメなんですけどね。もっと楽に、ちょっとこう背後あたりで、トンともらってターンあたりが理想なんですけど。それはやっぱりセンターバックとボランチが、うまく三角形で、あとサイドバックが絡んで、相手を手玉に取っていかないと。結局僕がリスクを必要以上に取らないといけなくなってしまうので、そうなるとやっぱりいいボールの置き方がすぐできないんですよね。

 -監督とも話をするのか

 本田 うーん。でも結局こういうのって、もうちょっとピッチの中で選手たちが考えながらやれればいいんですけどね。サッカーはサッカーなんで。ボールを持ったらそこにいるのが当たり前という感覚。それをもうちょっと、みんなに理解してほしいかなと思います。