ついに決めた! マインツFW武藤嘉紀(23)がハノーバー戦で先発し、ブンデスリーガ初ゴールを含む2得点を挙げた。前半15分にMFサンペリオのスルーパスから左足で先制点。公式戦4試合目、リーグ3戦目で移籍後初得点を決めると、同29分には左CKの折り返しを頭で押し込んだ。リーグ3戦目で、チームをホーム初勝利へと導く活躍を見せた。

 願うようにボールを見送った。武藤が放った左足シュートが相手GKの左脇を抜けていく。あとは白いゴールネットを揺らすだけだ。右ポストに直撃した運命のボールは、跳ね返りながらネットに収まった。スマートに入らなくても、武藤のブンデス初ゴール。前半15分のスルーパスからだった。初先発した前節のボルシアMG戦では5度引っかかったオフサイドギリギリで抜けだし、決めた。

 両手を伸ばし、格別の歓喜を味わうと、プレッシャーという名の重荷が取れたかのように、躍動感にあふれた。同28分にはペナルティーエリア内で左から縦にドリブル突破。自ら演出した左CKから再びチャンスが舞い込んできた。DFベルが頭で折り返したボールに、飛び込んでヘディングシュート。わずかに左に外れていた軌道を変えた。1発だけでは、終わらなかった。

 チーム合流から2カ月もたっていない。新鮮な場所でサッカーを楽しむ一方で、ドイツ語もままならない環境に、ストレスはゼロではなかった。開幕前、最後の練習試合となった1日のイングランド2部ロザラム戦で負傷した右膝。痛くても意思の疎通ができず、満足に治療ができなかった。「痛いけど、痛いなんて言ってられない。この中でもやらないと。何のためにきたか分からない」。ハングリー精神が、自然と備わっていた。

 後半42分に退くときには、2万6000人を超えるスタンドからスタンディングオベーションが巻き起こった。ピッチに深々と一礼すると、シュミット監督から手を合わせ、敬意を表しながら出迎えられた。31日には海外組として日本代表に合流。昨年9月以来、代表ゴールは遠ざかるが、大きく成長した姿で、凱旋(がいせん)する。【栗田成芳】

 FW武藤の話 (初ゴールを)非常にうれしく思う。この得点で肩の荷が下りたと思うので、これから増やしていきたい。いつか取れるとは思っていたけど(前節)ひどい外し方をしたので多少のプレッシャーはあった。ブンデスはレベルが高くチャンスが限られる中、いい形で抜け出せたと思う。