【ミラノ(イタリア)5日=波平千種通信員】ACミランの日本代表FW本田圭佑(29)が0-4で大敗した4日(日本時間5日)のナポリ戦(ホーム)後、壊滅的なチーム状況について、歯に衣(きぬ)着せぬ物言いで7分間語った。本田は2試合連続の出番なしで、チームは2連敗。取り巻くすべての状況に対し、批判とも取れる強烈な発言を“置き土産”とし、日本代表に合流する。

 ストレート過ぎる物言いだった。本田が出場なしの試合後に、立ち止まって語ること自体珍しい。それも7分間も。口ぶりは冷静で出番なしと惨敗で頭に血が上っていたわけではない。むしろ去就も含め、今後の立場を危うくするような批判的発言と分かっていて、あえて口にした感がある。必要だと思ったのだろう。

 「この敗戦から何かを学ばないといつまでたっても(チーム)再建というのは程遠い」と始まった。次はクラブの強化について。「(このままでは)ある程度誰がやっても無理だというのはもう分かったと思う。(マンチェスター)シティーやパリサンジェルマンくらい(強化に)お金を使うか、そうでないのであればもう少しストラクチャー(組織)の部分から見直していかないといけない」。

 さらに踏み込む。「選手が気付いていてもこのチームは変わらない。やはりトップの人間、経営陣が気付く、そして監督が気付く、選手たちが気付く。と同時にファンたちも気付いていかないと」。

 ミハイロビッチ監督が選手の精神面を問題視していると問われると「それはどういうことなんですかね。選手に責任があるという話をしている時点で、ナンセンスだと思う」。最後にイタリアサッカー全体にまで警鐘を鳴らし「イタリアのメディアに伝えておいてください、僕の話したことを。また、さんざんっぱら僕のことたたくんでしょうけど」と締めた。

 背番号10を背負い、ずっとミラン再建を唱えながら開幕から無得点のまま定位置も失った。言える立場ではないと指摘されれば、それはそうだ。だが立場で主張や物言いを変えることはしない。むしろ問題発言となれば、まだそれだけの発言力があるということになる。腹をくくって言った。これで何も起きず何も変わらなければ、本田のミランでの仕事はない、という結論になるのかもしれない。

<本田の「物言い7分間」その他の発言>

 ◆出場機会について問われ 「なんで出られなくなったか分からないので。(チームが)こういう戦いをしていて出られるチャンスがないほうがおかしいでしょ。誰がいいとか誰が悪いとかをこの試合で話し合う時点でまずナンセンスだと思います」

 ◆ファンも問題点に気付くべきだと主張しながら 「ファンの拍手のタイミングとかを見ていても、勝つことだけに左右されているというのはすごく感じるんで。内容など見ないし、勝てば(それだけで)拍手をする」

 ◆監督が選手の精神面を問題視していると聞かれた流れで 「(強化に)100億くらい使った選手たちを今試しているわけでしょ。トップトップ(=世界トップ)のプレーヤーでないにしても、少なくとも代表選手が集まっている集団でしょ。それでなぜ出ている選手が与えられたポジションで生き生きとプレーできないのか。もう少し構造的なもの、評価基準をメディアからファンから監督から経営陣から、全員がもし変えることができれば大きく再建につながるんじゃないか」