国際サッカー連盟(FIFA)の汚職問題は、ブラッター会長と次期会長の有力候補だったプラティニ副会長の暫定的な活動停止処分にまで発展した。

 組織を根幹から揺るがすスキャンダルは底なしの様相で、来年2月26日に行われる会長選挙の行方は混迷の度合いが一層深まった。

 会長選の立候補は今月26日に締め切られる。フランスの元名選手で欧州連盟(UEFA)会長も務めるプラティニ氏はサッカーに関わる活動を禁じられるため、関係者によると立候補できない見通しだ。さらに、同じく出馬を表明している韓国の鄭夢準元副会長も6年間の活動停止処分を受けた。汚職問題からの再起を担うはずだった次期会長候補にまで腐敗が広がっているという事実は、サッカー界への信頼を大きく損ねる。

 ブラッター氏の活動停止で実質的に「トップ不在」となる期間はハヤトウ副会長が会長職を代行する見込み。しかし、前代未聞の混乱の中で組織を束ねる強いリーダーシップを発揮できるかは未知数だ。

 会長選に立候補する意向を示しているのは、5月の選挙でブラッター会長に敗れたヨルダンのアリ王子、元ブラジル代表のスター選手で日本代表監督の経験もあるジーコ氏ら。本命がいなくなった中、FIFAを立て直せるだけの人材が現れるかは不透明だ。