マインツの日本代表FW武藤嘉紀(23)が移籍後初のハットトリックを達成した。アウェーのアウクスブルク戦で序盤に2点を決めると、2-3の後半ロスタイムに右足で豪快な同点ゴールを蹴り込んで、チームに勝ち点1をもたらした。これで武藤は今季通算6ゴール。ブンデスリーガで1試合3点を決めた日本人は、06年高原直泰(フランクフルト)以来2人目という快挙だった。

 ドイツメディアがヒーロー目がけて大挙して押しかけてきた! 武藤がハットトリックを決めた試合後。ピッチサイドでのインタビューを受けると、室内のミックスゾーンでは地元テレビなど5社の取材。さらにドイツ人新聞記者たちに囲まれ、日本から来たメディアに対応したのは、その後だった。

 それでも疲れも見せず、執念で奪った勝ち点1について話した。「負けている状況で最後にチームを救うゴールができたことを、非常にうれしく思います。最後まで点を取りにいこうとしたのがこの結果につながった。チームとしてのスピリットは素晴らしかった」と胸を張った。

 前半18分に2戦連続となる左足ゴール。同30分にも右足で決めた。この日はそれだけで終わらなかった。アウクスブルクに簡単に逆転を許し、1点を追う後半ロスタイム。ペナルティーエリア内左でフリーでボールを受けると、中央へ切り込みながら執念の右足シュートを放った。ボールは相手選手に当たり、角度を変えてゴールネットを揺らした。

 日本人では高原以来となるブンデスでの1試合3点。武藤は東京時代も1試合2点が最高で、これがプロ初のハットにもなった。マインツ公式ツイッターはうれしそうに記念のボールを抱える写真を掲載した。

 ただ、かろうじて引き分けたが、チームは公式戦4戦白星なし。武藤は「2人目ということは知らなかった。非常にうれしく受け止め、ただこれに一喜一憂せず、チームのためにプレーして得点を取り続けられたら」と気を引き締めるのを忘れなかった。【中野吉之伴通信員】