国際サッカー連盟(FIFA)は11日、スイス・チューリヒで年間表彰式を開き、15年の男子世界年間最優秀選手「FIFAバロンドール」にアルゼンチン代表FWリオネル・メッシ(28=バルセロナ)を選出した。各代表チームの監督と主将、記者の投票で、全得点中41・33%の支持を集めた。ポルトガル代表FWロナルド(Rマドリード)が27・76%、ブラジル代表FWネイマール(バルセロナ)が7・86%で続いた。男子の最優秀監督はバルセロナのルイスエンリケ監督が初選出された。

 メッシが文句なしの受賞だ。「これが5度目なんて、信じられないよ」。14-15年シーズンはスペインリーグで43得点し、欧州チャンピオンズリーグ(CL)でも10ゴールを奪った。スペイン国王杯と合わせた3冠の獲得に貢献。2位となったライバルのロナルドに約14ポイントの差をつけて5度目の栄冠に輝いた。

 当然の受賞だが、3年ぶりのバロンドール。壇上では「観衆としてクリスティアノ(ロナルド)の受賞を見てきたから、またバロンドールを受賞し、このステージに上がれるなんて、本当に僕にとって特別な瞬間だよ」と喜びに浸った。

 ドリブルと左足シュートの威力には陰りが見られない。欧州CLではロナルド、ネイマールと並ぶ10得点で得点王となった。スアレス、ネイマールとの「MSNトリオ」の破壊力は抜群で、2人がメッシの負担を軽減していることも活躍の要因だ。「ほぼ全てのタイトルを取れた。チームが並外れていいから、自分もいいプレーができる」と仲間への感謝を忘れなかった。

 「私はバロンドールの最大の敵だ。メッシが受賞するのは分かりきっていたが、このような賞は感心しない」というアーセナルのベンゲル監督のように、チームスポーツ・サッカーにおける個人賞に疑問を投げかける関係者もいる。それでもメッシの成績がかすむわけではない。「毎年最善を尽くし、前の年を上回ろうと努力している」。その貪欲さがある限り、メッシ時代は続く。

 ◆世界年間最優秀選手賞 国際サッカー連盟(FIFA)などが主催するサッカー界で最も権威ある賞。男子は、91年から始まったFIFA年間最優秀選手賞と、フランス・フットボール誌が56年に始めた「バロンドール」を統合し、10年から「FIFAバロンドール」として一本化。女子は01年創設。「バロンドール」の名称は男子のみ。各国代表チームの監督と主将、各国記者が1~3位を記して投票し、1位=5点、2位=3点、3位=1点と得点化して決まる。