国際サッカー連盟(FIFA)は26日、スイスのチューリヒで開いた臨時総会でゼップ・ブラッター氏(79)の後任を決める会長選挙を行い、欧州サッカー連盟(UEFA)事務局長のジャンニ・インファンティノ氏(45=スイス)を第9代会長に選出した。同氏は昨年発覚した汚職事件で失墜し、危機に立つFIFAの再建を担う。

 投票には資格停止中のインドネシアとクウェートを除く207協会が参加。1回目でインファンティノ氏は88票を獲得して4人の候補者で最多だったが、当選に必要な3分の2(138票)には届かなかった。過半数で当選となる2回目は115票に伸ばした。同氏は当選後のあいさつで「FIFAのイメージと信頼を取り戻す。全209協会と手を携えて仕事をしたい」と抱負を語った。

 1998年から会長を務めたブラッター氏は昨年5月に5選を果たしたが、幹部や関係者が多数起訴された一連の汚職事件の責任を問う声が高まり、同6月に辞任を表明。その後活動停止処分を受けた。

 大口スポンサーが離れるなど事件の影響が深刻化する中、FIFAは26日の総会で幹部の任期制限導入や理事会の改編などの規約も改定。大幅に若返った新リーダーは、組織改革の推進が課題となる。任期は2019年5月まで。

 有力視されていたアジア・サッカー連盟(AFC)会長のシェイク・サルマン氏(50)は、1回目は85票で、2回目は88票にとどまった。元FIFA副会長のアリ・フセイン王子(40)と、元FIFA副事務局長のジェローム・シャンパーニュ氏(57)も敗れた。実業家のトーキョー・セシュワレイ氏(62)は投票前に辞退した。

 ◆ジャンニ・インファンティノ氏 大学で法律を専攻してスイスの国際スポーツ研究機関、CIESの事務局長を務めた。00年にUEFAに入ると法務やクラブライセンスに関する部門での実務を重ね、09年から事務局長。一時はFIFA次期会長の最有力候補だったUEFAのプラティニ会長に活動停止処分が科されたため、急きょ今回の選挙に出馬した。英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語が堪能な弁護士。スイス出身。70年3月23日生まれの45歳。