クライフ氏は現代サッカーの基礎をつくった中心人物だ。攻守分業が当たり前だった1970年代に、全員が攻撃と守備に関わる最先端のサッカー「トータル・フットボール」をアヤックス(オランダ)とオランダ代表で実現。抜群のリーダーシップで味方選手を導いた。

 代表では74年のワールドカップ(W杯)西ドイツ(現ドイツ)大会で準優勝に終わったが、革新的なスタイルは世界中に衝撃を与え、その後のサッカー戦術の源流となった。

 選手としてはアヤックスやバルセロナ(スペイン)などで活躍。細身ながら高い技術と戦術眼を誇り、ピッチの王様として君臨した。

 軸足の後ろ側にボールを通しながらの鋭い反転は「クライフ・ターン」と呼ばれるなど個人技にも優れ、数々の印象に残るゴールで「空飛ぶオランダ人」の異名もあった。

 アヤックスでは3季連続で欧州一に輝き、当時の欧州最優秀選手にも3度選ばれた。

 監督としてはバルセロナで最も成功した。同国1部リーグ4連覇に導き、92年にはクラブに初の欧州制覇をもたらした。

 当時の教え子であるBミュンヘン(ドイツ)の名将グアルディオラ監督らに多大な影響を与えた。

 最大の功績は育成年代からの一貫指導システムを構築したことだろう。下部組織からはメッシ、イニエスタ、シャビら技術に優れる名選手を次々と輩出。

 現在まで続くバルセロナの栄光を支えている。ショートパスをベースにした攻撃的サッカーはスペイン代表の2010年W杯初優勝の土台ともなった。