来季の欧州チャンピオンズリーグ(CL)の出場権を獲得している岡崎、香川に続く日本人として、意外なところから名乗りが上がった。ルーマニア1部リーグでMF瀬戸貴幸(30)の所属するアストラが、欧州CL予選3回戦への進出を決めた。25日(日本時間26日)のトゥルグ・ムレシュ戦前に、他カードの結果で2位以上が確定。予選3回戦、プレーオフを勝ち抜けば、夢の本戦出場となる。また、フル出場した試合に4-1と勝ち、次節にもリーグ初優勝が決まる。

 深夜出発のバスは5時間以上もかけ祝勝ムードのまま朝5時に本拠地ジョルジュにたどり着いた。欧州CL予選3回戦への進出。夢の舞台への挑戦権を手に入れた。瀬戸は「夢みたい。数年前までは実現するには遠い目標だった。徐々に近づいてきて、あと少しのところまできた」。

 バルセロナ、Rマドリード、Bミュンヘン…。そうそうたるクラブとの戦いを夢見て、海外にこだわってきた。「小さい頃からテレビで見ていたCL。やるからには本戦に出たい。出て、アンセム(試合前に流れる曲)を聞いたら鳥肌立つんじゃないかな。まずは出場権を獲得したい」。岡崎、香川に続いてピッチに立つ自分を思い描いた。

 トゥルグ・ムレシュ戦は日本人として、もう1つ偉業を達成した。同国1部の外国人選手として最多タイ記録となる通算202試合目の出場で、4-1の快勝に貢献した。ボランチとして汗かき役に徹する。そんなプレーを評価されて、昨夏にトルコ・オスマンリスポルへ移籍した。

 だが半年で出場機会は減った。住んでいた首都アンカラでは爆破テロがあった。家族の安全も考え、古巣への期限付き移籍を決断した。トルコで好まれる激しい球際でのプレーが染みついて、復帰2戦目で2度の警告を受け、人生初の退場処分。そんな経験が血となり肉となって今がある。

 来季以降は2年の契約を残すオスマンリスポルとの交渉が必要だが「CLに出られることを考えればアストラに残りたい」のが本音。リーグ残り2戦、あと勝ち点1で初優勝が決まる。「ホームで優勝カップを挙げられれば、また盛り上がる」。ルーマニア王者として欧州に挑むつもりだ。

 ◆瀬戸貴幸(せと・たかゆき)1986年(昭61)2月5日、名古屋市生まれ。小学校時代は名古屋FCでプレーし全国3位。宝神中-熱田高と進学。高校卒業後にブラジル留学し、コリンチャンスなどで練習参加。帰国後はフットサルの愛知ニューウェーブスでプレー。07年夏に当時ルーマニア3部のアストラへ入団。09年に1部昇格。13-14年に国内カップ戦優勝。翌年欧州リーグ初出場しザルツブルク戦でゴール。昨夏トルコ・オスマンリスポルへ移籍するも、昨年12月にアストラへ期限付き移籍で戻る。182センチ71キロ。