日本代表FW岡崎慎司(30)の所属する首位レスターが、創設133年目の初優勝に限りなく近づいた。岡崎はアウェーのマンチェスターU戦に先発出場し、後半22分までプレー。チームは先制点を許しながらDFウェズ・モーガンの得点で追いつき、1-1のドローに持ち込んだ。勝ち点を77に伸ばしたレスターは、2位トットナムが2日(日本時間3日午前4時開始)のチェルシー戦で引き分け以下なら夢の優勝が決まる。

 「シアター・オブ・ドリームス(夢の劇場)」と呼ばれる聖地オールドトラフォードで、ストライカー岡崎が1発を狙った。

 1-1の後半5分。右サイドを上がるDFシンプソンに合わせてゴール前へ進入。同DFのパスに勢いよく足から飛び込んだ。ボールに触れることはできず勝ち越しゴールはならなかった。それでも日本人FWとして世界最高峰のプレミアリーグに挑戦する、男の心意気は示した。

 立ち上がりからマンUにペースを握られた。前半8分にマルシャルに先制点を許した。9分後にモーガンが頭で同点ゴールを決めたが、前半終了時点でのレスターのボール保持率はわずか28%。劣勢は明らかだった。だが後半開始早々の岡崎のプレーが、チームの闘志に火を付けた。後半はレスターが押し気味に試合を進め、22分に岡崎が交代し、終了間際にドリンクウオーターが2度目の警告で退場となっても、全員でドローに持ち込んだ。

 もちろん岡崎にとって、もろ手を挙げて喜べる試合ではなかった。今季リーグ3位の22点を挙げているFWバーディーはこの日まで出場停止。スタンド観戦していた。岡崎はエースの不在に「オレが取れば、それこそオレのプレーで点が取れることを確立できる」と闘志を燃やしていたが、結果を残すことはできなかった。それだけに後半5分のプレーについては「触るだけでゴールの場面があったが、次は絶対に前に出てゴールにしたい」と悔しさをあらわにした。

 奇跡のリーグ制覇は持ち越されたが、創設133年目のリーグ制覇は大詰めだ。レスターは勝ち点を77点に伸ばし、2位トットナムとは勝ち点8差。次戦でトットナムが引き分け以下なら、レスターの優勝が決まる。岡崎も「引き分けたことは大きい。相手(トットナム)にプレッシャーがかかると思う」とうなずく。ただ、チームの勝利と自分の出来に満足できるかどうかは別問題だ。今季ここまで「勝たせるやつがいて、点を取って目立っていくやつがいる。ただただ悔しさだけ」と話してきた岡崎。残りの2試合に、その熱い気持ちをぶつける。【中野吉之伴通信員】

 ◆レスター 正式名称はレスター・シティFC。イングランド中央部のレスターシャー州レスター(人口約30万人)で、1884年創立。本拠地はキングパワー・スタジアム(3万2312人収容)。01-02年シーズンまでプレミアリーグに所属し、03-04年に一時復帰して以降はチャンピオンシップ(2部)、リーグ1(3部)と低迷。08-09年にリーグ1に優勝、そして13-14年にチャンピオンシップを制し、14-15年からプレミアリーグに復帰。リーグ杯優勝3回。74~85年に元イングランド代表FWリネカーが在籍。日本人では浦和MF阿部勇樹も10年8月から1年半、プレーしている。

 ◆優勝条件 勝ち点77のレスターは残り2試合で勝ち点2を挙げれば79となり、69のトットナムが残り3試合に全勝しても78止まりのため、届かない。逆にトットナムが次戦でチェルシーに引き分ければ、勝ち点2を落とす計算となるため、戦わずして優勝が決まる。