FW岡崎慎司(30)の所属するレスターが、英国史上最大の番狂わせを成し遂げた。2日、2位トットナムがアウェーのチェルシー戦で引き分けたため、リーグ2戦を残して勝ち点7差となり、プレミアリーグ初制覇が決まった。

 就任1年目のラニエリ監督は優勝について「就任当初は予想も出来なかった」とし、来季に向けて「連覇は無理だろうね。まず10位を狙う」と話した。だが、チェルシーやユベントスなど強豪を率いながら優勝経験がなく、「終わった指揮官」とやゆされた64歳が見せた人心掌握術は見事だった。

 「監督がシュート練習をさせてくれないんだよ」。4月下旬、エースFWバーディーがつぶやいた。「監督はオレの足を休めたがる。シュート練習になると『クラブハウスに戻れ』って言われるよ」。各自の体調を考慮するイタリア人監督ならではの配慮だった。

 ピッチ外でも気配りの人。昨年10月には、初完封のご褒美としてピザを振る舞った。クリスマス前には、選手たちのデンマークへの旅行を許可。岡崎が英国のマンガのキャラクター「バナナマン」に仮装するなど、飲めや歌えやの大騒ぎで盛り上がった。

 戦術的に目新しいものはない。かつては自分の戦術に固執するタイプだった指揮官がピッチ外で変身し、番狂わせを起こした。