ブラジルのサッカークラブ、シャペコエンセの一行が乗ったチャーター機が28日夜(日本時間29日)、コロンビア中部メデジン近郊で墜落した。コロンビアのサントス大統領は29日、6人が生存していると明らかにした。ロイター通信などは乗客乗員75人が死亡したと伝えた。シャペコエンセは09年に神戸を率いたカイオジュニオール氏(51)が監督を務め、元Jリーガー4人も乗っていたが、コロンビア航空当局が発表した生存者名簿に5人の名前はなかった。

 国際大会「コパ・スダメリカーナ」(南米杯)決勝第1戦で、30日に敵地でアトレチコ・ナシオナル(コロンビア)と対戦する予定だったシャペコエンセの一行を乗せた飛行機が墜落した。同機は28日午後9時半ごろに到着予定だったメデジン近郊で消息を絶った。当時は悪天候で、事故機からは電気系統のトラブルを伝える緊急発信があった。

 同機には選手ら72人の乗客と乗務員9人の計81人が乗っていた。当初は選手3人を含む6人が救出され、うち1人が病院で死亡したと伝えられた。

 シャペコエンセはブラジル南部シャペコを本拠地とするクラブ。ブラジル代表選手はおらず、現在ブラジル1部リーグ9位につけている。09年に神戸を指揮したカイオジュニオールが監督を務め、元Jリーグ経験者もいる。遠征参加名簿には元千葉、C大阪のFWケンペス選手(34)、元川崎FのMFアルトゥールマイア選手(24)、元柏のMFクレーベル選手(35)、元京都DFチエゴ選手(30)の名が含まれていた。

 クラブの公式サイトなどによると、チームは本拠地からメデジンに直行する予定だったが、航空会社に何らかの理由で拒否され、サンパウロからボリビアのサンタクルスを経由し、メデジンに向かうことになったという。

 一夜明けた29日、ブラジルは悲しみに包まれた。山肌に大破した航空機が横たわる光景や、病院内でストレッチャーに乗せた負傷者を急いで搬送する医師らの姿など、現場の生々しい画像がネットなどで流れ出した。当初、救助されたGKダニーロ選手は亡くなった。また新たに2人の生存が確認され、その1人のDFネト選手は重傷という。

 チームの拠点では多くの人々が慌ただしく出入りし、抱き合う女性たちの姿もみられた。テメル大統領は声明を発表。ブラジルは3日間喪に服し、ブラジルサッカー協会は1週間は試合を中止するとした。

 サッカー界では過去にトリノが巻き込まれた「スペルガの悲劇」など悲惨な飛行機事故があったが、過去の「悲劇」以上の惨事となった。(エリーザ大塚通信員)