ブラジル1部シャペコエンセの選手らが乗っていたチャーター機墜落事故で、「サッカーの王様」ペレ氏ら多くの関係者から追悼するコメントが相次いだ。国際大会「コパ・スダメリカーナ」(南米杯)決勝で対戦する予定だったナシオナル・メデジン(コロンビア)は11月29日、南米連盟に対して同杯のタイトルをシャペコエンセに与えるよう要請した。09年に神戸を率いたカイオジュニオール監督らJリーグに所属経験のある5人は全員、死亡したことが判明した。

 墜落事故は、乗客乗員の全77人のうち生存はわずか6人という大惨事となった。救助されたのは選手3人、乗員2人、報道関係者1人。選手の1人、GKフォルマンは手術で右脚を切断した。Jリーグに在籍経験があった5人は全員が帰らぬ人となった。

 選手らが所属していたJリーグの各クラブは、同月30日午後6時から相次いでウェブサイトで追悼メッセージを掲載。10年にチエゴ選手がプレーした京都はクラブハウスに献花台を2日間設けるという。南米杯決勝で対戦するはずだったナシオナル・メデジンは「コパ・スダメリカーナ2016の勝者は永遠にシャペコエンセのものだ」との声明を発表した。

 ペレ氏は「ブラジルのサッカー界は哀悼の意を表している。悲劇的な喪失だ。ご遺族に対し、心からご冥福をお祈りいたします」とし、ブラジル代表FWネイマールも「信じられない悲劇だ。今日、世界が泣いている。天国がチャンピオンたちを迎え入れるだろう」とインスタグラムで悲しんだ。

 シャペコエンセのサポーターは、ホームスタジアムに集結。目に涙を浮かべながら、ロウソクに灯をともすなど、選手たちとの別れを惜しんだ。また、欧州での試合前には黙とうがささげられ、試合のなかったRマドリードやバルセロナは、練習の前に1分間の黙とうをした。

 一方、ブラジルの複数の強豪チームが所属選手を期限付きで移籍させる意向を示すなど支援に乗り出した。支援を表明したのは、ブラジルの名門コリンチャンスやフルミネンセ、サントスなど10チーム以上。連名の声明によると、各チームは17年シーズンの間、所属選手を無償で期限付き移籍させる方針という。さらにブラジル連盟に対し、今後3年間はシャペコエンセの成績が悪くても2部に降格させないよう要請。「最大限のお悔やみを申し上げるとともに、チームやファン、特に家族やスタッフと痛みを分かち合いたい」とした。

 すでにブラジル全国選手権優勝を決めているパルメイラスは、11日の最終節でシャペコエンセのユニホームを着て試合をしたいとの旨を同連盟に申し出るなど、国内で支援の輪が広がっている。