インテルミラノの日本代表DF長友佑都(30)が24日、都内でタレント平愛梨(32)との婚約会見を開いた。「本当に、こんな素晴らしい女性が、この世に存在するんだ、という思いがある。言うことがないです」など、平への愛を語る言葉は、実に真っすぐで熱いものだった。

 会見の冒頭で、2人のなれ初めから今までの歩みを紹介する映像を流した。映像には、今年2月にホームスタジアムのスタディオ・ジュゼッペ・メアッツァに平を連れて行き、自身の仕事場であるピッチ上にひざまずき、プロポーズするもようまで収められていた。愛情あふれる映像に、会見場に集まった女性リポーターからは「涙が出そう」という声や、ため息が漏れた。プロポーズの場面まで取材陣に公開した理由について、長友は次のように語った。

 「クリスマスイブの大切な日に、皆さんにお仕事を入れてしまったこともあったので、僕らの方から楽しんでいただきたく思い、VTRを作らせていただきました。ファンの方にも…今年の日本は明るいニュースが少なかった。明るいニュースを届けたかった」

 年末年始で多忙な中、駆けつけた取材陣に、クリスマスプレゼント代わりのネタまで用意する。取材する側への気づかいは、最後に取材した7年前から全く変わっていなかった。

●「独り立ちして母を安心させたい」

 長友は明大3年だった07年にJ1東京の特別指定選手となると、同年にU-22代表に選出されるなど、彗星(すいせい)のように日本サッカー界を駆け上がった。08年にサッカー部を退部し、東京と契約を結びプロとなったが、理由は「早く独り立ちして、女手ひとつで育ててくれた母を安心させたい」というものだった。

 記者は当時、東京の担当記者ではなかったが、大学サッカーを継続して取材する中で、関係者から長友の親孝行ぶり、実直な人柄を頻繁に耳にした。興味を持ち、07年秋口に試合会場で声をかけた時から、機会があるたびに取材した。試合後に別の選手の取材をしていて囲み取材に遅れても、目が合うと向こうから声をかけてくれた。取材に行く度に、1対1で話をする機会が増えていった。

 試合中、ほぼフルタイムにわたってサイドでアップダウンを続け、大柄な外国人選手にも恐れることなく向かっていくプレースタイルは、試合ごとに迫力を増した。日本代表入りもささやかれだしたが、「自分は、まだまだなんで。世界に通用するサイドバックになるには妥協はできないです」などと、謙虚な姿勢は変わらなかった。

 09年11月3日のナビスコ杯(現ルヴァン杯)決勝・川崎F戦を取材したのを最後に、サッカー担当を離れて7年。念願のA代表デビューを飾った、2008年5月24日の親善試合コートジボワール戦(愛知・豊田スタジアム)に続き、長友の人生の節目を取材する機会に恵まれた。偶然の巡り合わせだろうが、当時と全く変わらない長友を、直に感じることができたことが、うれしかった。【村上幸将】