サウサンプトンDF吉田麻也(28)の初タイトルはならなかった。サウサンプトンが、マンチェスター・ユナイテッドに2-3と敗れ、大会初制覇を逃した。

 吉田はセンターバックでフル出場。8万5264人の観衆で埋まったウェンブリースタジアムで堂々と、名門チームを相手に渡り合ったが、あと一歩届かなかった。

 試合は一進一退の攻防となった。前半11分、サウサンプトンはFWガッビアディーニがクロスボールを頭で押し込み先制点かと思われたがオフサイド。対するマンチェスターUは同19分、FWイブラヒモビッチがFKを決めて先行した。続く同38分、吉田らサウサンプトンDF陣の寄せが甘くなったところを突かれ、マンチェスターUが追加点を奪った。このまま一方的な展開になるかと思われた前半ロスタイム、サウサンプトンは冬の移籍市場で獲得したFWガッビアディーニがクロスボールに飛び込み、1点差とした。

 息を吹き返したサウサンプトンは後半3分、CKのこぼれ球からゴール前へクロス。再びFWガッビアディーニがエリア内で相手を背負いながら、反転してのボレーシュート。これが決まり、同点とした。その後は互いに譲らず、行き詰まる攻防。そして延長戦突入かと思われた後半42分、勝負が決した。

 マンチェスターUは右サイドのMFエレーラからのクロスボールに、FWイブラヒモビッチが打点の高いヘディングシュートを見舞う。前に入られ完全にマークを外された格好の吉田は、イブラヒモビッチの世界トップレベルの一撃をただ見届けるしかなかった。衰え知らずの35歳のエースは「これはチームの努力の賜物だな。私はここに勝つためにやってきたし、もっと勝たないと満足できない。私にとって32個目のトロフィーだと思うが、こうなることと予見してたよ」と興奮が収まらなかった。

 一方、敗軍の将は潔かった。サウサンプトンのピュエル監督は「私たちはクオリティーを持って(この舞台に)帰ってきたし、より良い価値をみせつけた。だがこれがフットボール、マンチェスターUと選手を祝福したい」とまず胸を張った。そして「ガッビアディーニは(オフサイドを含めて)3つのゴールを決めた。もちろん大きな失望はある。でも、優勝には届かなかったがファンタスティックなゲームだった。このレベルでのプレーを続けたいと願っている」と話した。

 マンチェスターUは、7年ぶり5度目の優勝となった。