エイバルMF乾貴士(28)は決定機を生かせず、今季初ゴールはまたお預けとなった。

 2試合連続の先発出場となった乾は、コンパクトかつボールが宙を浮く時間の長い落ち着かない展開の中、いい形でボールが入ったときには積極的にドリブルからゴールを狙った。そのプレーの1つが前半35分のものだった。ペナルティーエリア内で倒されてシュートは打てなかったが、DFを1人かわしてエスパニョール守備を脅かした。

 また、前半29分には長く伸びた縦パスのボールに追いつきラストパスを送った。過去2度の対戦で1ゴール1アシストを決めている乾に対し、エスパニョールはDFハビ・ロペスが徹底的にマークを続ける。後半17分にはMFペドロ・レオンの作った決定機からシュートを放ったが、ボールはゴールの枠外へ。後半30分、エスパニョールDFハビ・ロペスを置き去りにし、ペナルティーエリア内に侵入してのラストパス。この日一番のプレーを見せたが、チームの勝利につなげることはできなかった。乾は後半36分に途中交代した。

 乾はシュート場面を振り返り「まっすぐ転がすだけと思っていたし、右足で打とうとしたけど外側にきてしまったので、コースを狙って左で打ったら狙いすぎてしまった。GKやDFのスライディングもギリギリにきていたのが(見えたのも)気になってしまった」と悔やんだ。

 スペインリーグで常に試合に出ている乾だが、W杯アジア最終予選を戦う日本代表には声がかからなかった。それでも「気持ちを切り替えて集中することができている。ここで結果を出せば問題はないし、結果を出せていない以上、文句は言えない。また、代表に呼ばれるように頑張って、呼ばれた時に結果を出せるように、まずはエイバルで結果を出したい。ここで結果を出せなければ、どこいっても結果を出せないと思うので、ここでしっかりとやっていきたい」と自らに言い聞かせるように話した。

 試合はFWキケ・ガルシアの得点で先制したエイバルだが、後半5分に追いつかれ、勝ち越すことはできなかった。エイバルは勝ち点41の8位につけている。(山本孔一通信員)