スペイン1部エイバルのパトリシア・ロドリゲスCEO(35)が、MF乾貴士(28)を「他の選手の模範となっている」と絶賛した。同CEOはスペイン国王フェリペ6世の来日に伴い、乾らと来日。6日、東京・元赤坂の迎賓館で行われた安倍首相夫妻が主催した夕食会の前に日刊スポーツの取材に応じた。移籍2季目の乾の献身的な姿勢は本拠地で認められていると強調し、新たな日本人の獲得に含みを持たせた。

 CEOのロドリゲス氏は、加入2年目の今季リーグ29試合中21戦に出場する乾がエイバルで高く評価されていると強調した。「技術の高さだけではない。一生懸命で、他の選手の模範になる姿を見せてくれている」。待望の今季初ゴールを決めた1日のビジャレアル戦を例に「メンバーみんながとても喜んでいた。(メンディリバル)監督は宙返りしていたかも。それは冗談だけれど、それほど大切にされている選手です」と笑顔で語った。

 乾が「大人気の選手」となったのは、サポーターの気質とプレースタイルが合うからだという。スペイン北部のバスク地方にあるエイバルは人口約2万7000人の小都市。人々はさまざまな産業の盛衰に応じて仕事を変えながら生きてきたといい「乾のひたむきな姿勢は応援される。個人主義ではなく、グループを大切にしてハードワークする。日本人かは関係なく、頑張る姿が支持されている。今やチームの柱だ」と明言した。「フランクフルトから移籍1年で(スペイン語で)問題なく意思疎通できるようになった」と、選手からも、本拠地からも頼りになる存在として受け入れられているとした。

 スペイン国王の来日に伴う今回の乾の離脱は、シーズン中としては異例で一部では批判的な声や報道がある。「なんで自分なのかと(乾は)びっくりしたと思う」と胸中をおもんぱかりつつ、「国王から直接招待状が届いた」のはクラブ史上初めてで「非常に名誉なこと」と、夕食会参加の意義を強調。「今回の来日はエイバルを日本のみなさんに知ってもらえる機会になると分かってくれている」と、メンディリバル監督も理解を示しているとした。

 財務部門の責任者から会長に次ぐCEOに就任して約1年。ロドリゲス氏は、クラブ初の日本人選手がチームにもたらしたプラス効果を実感している。「乾がいい経験をさせてくれた。今後、新しい日本の選手とも会えるかもしれませんね」。乾に続く日本人選手の獲得にも前向きだった。【岡崎悠利】