93、94年にJ1ジェフユナイテッド市原(現J2千葉)、96年にJFLのブランメル仙台(現J1ベガルタ仙台)でプレーしたオッツェことフランク・オルデネビッツ氏(52)が、ニッカンスポーツコムの単独取材に応じた。

 インタビュー第2回は、同氏が強化担当を務めるブレーメンが、3月4日にJ2湘南ベルマーレらと提携を結び、立ち上げた共同育成プロジェクトについて語った。

 オッツェ氏は、小学生年代の育成を行うアカデミーとして千葉と神奈川で立ち上げる、日独フットボールアカデミー神奈川校の校長に就任する。神奈川校は湘南と提携し、5月28日にセレクションを開催。在校中にブレーメンへの短期留学があり、同校の選手が湘南の下部組織に昇格する可能性もある。湘南の下部組織の選手も、ブレーメンに最低で年1回の短期留学の機会がある。

 -Jリーグは以前ほど海外から大物選手が来なくなった。子どもをドイツに連れて行く育成は、日本人が海外から学ぶ新たな形では

 オルデネビッツ氏 まずプロジェクトを始めて、続けていくことが大事。動かしていきたい。若い優秀な選手を、ブレーメンに10日から2週間程度、招いて、その中で見るもの、聞くもの、体験するものが、彼らのサッカー人生の中心になっていくのでは、とみています。短期間で、どうこうというものじゃなく、長期的な視野に立ってのプロジェクト。いつになるか分からないが、行く末は湘南から優秀な選手が、ブレーメンに来ることになればいいと思っています。

 -湘南との提携について、本気度を知りたい

 オルデネビッツ氏 本気で臨んでいるのかと、なぜ疑問を持つのか? もちろん、本気です。クラブとして湘南との契約書にサインをして締結した意気込み、覚悟があります。1回こっきりの関係ではないし、短期間で花が咲くわけでもない、長期的な関係を視野に入れたプロジェクトになる。とにかく、いいスタートが切れるかどうかが大事…そこを見極めたい。

 -湘南の曹貴裁監督は、視察したいと言っている

 オルデネビッツ氏 曹さんが興味を持ってくれるのは、ありがたい。下部組織の指導者にも、視察に来ていただきたいですね。今回、締結した契約は、単に湘南の選手をブレーメンに連れていくためのものじゃない。ゆくゆくは、そういう目的もあるけれど、指導者がブレーメンに来て、我々のやることを見て刺激になり、湘南の指導に影響し、いい方向に改善する助けになればと思っています。逆にドイツから、指導者が日本に行くこともありだと思うし、いろいろな可能性が考えられます。

 -3月4日に湘南-ザスパクサツ群馬戦を観戦しての、湘南の印象は

 オルデネビッツ氏 前半25分までは非常に良く、得点を取る意識も、よく見えた。25分間続いたサッカーが、もっと長く、90分間、試合を制圧した形で出来ればいいと思う。改善する点が向上することを踏まえれば、確実にJリーグの上の方で争える力はあると思う。

 -今後は

 オルデネビッツ氏 セレクションの時に来日します。プロジェクトが、うまくいくかどうかは、選手がどれだけ応募してくれるかにかかっている。日本で、あるユース年代の大会を見たんですが、確実に才能を持った選手が、それなりの数いたのは事実です。

 -87-88年にブンデスリーガを制し、日本でも得点王になった。両足、頭と、あらゆるところで得点した。そのスタイルを、どう身に着けたのか?

 オルデネビッツ氏 ドイツで、どこでも点が取れるように、ということを意識してトレーニングしてきたからです。ブレーメンを14シーズン率い、04年にギリシャを欧州選手権優勝に導いた、オットー・レーハーゲル監督からは、左足ばかりではなく、右足でも、頭でもボールを扱うよう、口を酸っぱくして言われたんですよ。奥寺康彦さんも、同じ時期に指導を受けましたけど、私と全く同じように練習して、左足でのセンタリングは、良くなったと思います。

 次回は、05年からブレーメンの強化担当を務める同氏が日本人選手に注目する理由、選手獲得の動きについて語る。【村上幸将】