ブンデスリーガの名門・ブレーメンの強化担当を務める、オッツェことフランク・オルデネビッツ氏(52)が、ニッカンスポーツコムの単独取材に応じた。3回目の今回は、鹿島アントラーズの日本代表DF昌子源(24)を今夏の補強候補にリストアップするなど、熱視線を送る日本人選手について語った。

 -Jリーグで注目している選手は?

 オルデネビッツ氏 います。Jリーグで活躍する選手の2、3人がリストに上がっています。特別、年齢にこだわりはないですが、若い選手を取って、ブレーメンで成長させるのもありだと思うし、乗りに乗っている選手を取って即、活躍、貢献してもらうケースもある。次のシーズンに向けて動いている事案だから、成就するかは分からない。獲得の希望はクラブに出しますが、決定権があるのは私ではありません。

 -欧州の移籍市場は、各国リーグのビッグネームから移籍が決まっていき、序列が低い日本人選手の移籍も左右されてしまう

 オルデネビッツ氏 欧州の選手がリストの上にいるわけではなくて、要はいい選手か、悪い選手かが問題。今は(インターネットなどで)世界中の選手を見ることが出来る。私はJリーグでもプレーした経験から、日本に知っている人もたくさんいて、情報をもらうこともある。05年にブレーメンのスカウトに就任した時から、かなり集中的に日本人選手のスカウティングをするようになり、今も何人もの選手を見ていますよ。

 -3月4日に湘南ベルマーレとの共同育成プロジェクトを発表した会見で、セビリアからセレッソ大阪に復帰したMF清武弘嗣の獲得に失敗したと明かした。日本人MFを取りたい?

 オルデネビッツ氏 決してMFに限っているわけじゃない。いい日本人選手を、ほっしているのは事実。ポジションにかかわらず、ほしい。

 -ポジション…もっと具体的に言うと、昌子は?

 オルデネビッツ氏 昌子? 細かいことは忘れたよ(笑い)やはり、日本人はブンデスリーガに合うと思っています。既にたくさんの日本人が活躍しているので、続いてドイツやブレーメンに来ることをイメージしやすいという部分で、他の欧州主要リーグより優位性があると思います。日本人選手に来てもらえれば、早くなじんで、チームに貢献し、活躍してくれると見ています。

 -日本人FWが欧州のクラブに移籍しても、サイドで起用されることが多く良さを出し切れなかった。大迫勇也はケルン3季目で、ようやくトップのポジションで起用されている。日本人FWの評価は変わったか

 オルデネビッツ氏 現代サッカーでは、プレーシステムとして1トップを採用することが多く、FWが1トップになり切れるか難しいところがある。バイエルンのレバンドフスキくらいのレベルになれば、そこしかないとなってしまうけれど、1トップ以外なら2列目、1列目と2列目の間などになってしまうかも知れない。FWのポジションが1つしかないなら、そこに座るのは(国籍に限らず)難しいところです。

 -ヘルタで原口元気が活躍している

 オルデネビッツ氏 トップでもサイドでもフレキシブルに出来る点で、ヘルタで生きていると思う。1人の選手がセンターバックとサイドバック、もしくは守備的MFなど幾つかのポジションがこなせることは重要で、非常にいいことだとされる時代。そういう要素を持ち合わせている原口は、もともといい選手だと思っていましたよ。

 -アーセナルからシュツットガルトにレンタル移籍したFW浅野拓磨については

 オルデネビッツ氏 知っています。今、2部でプレーしているけれど、たくさんのゴールを見せてもらいたいし、学んだことをサッカー人生に生かしてもらえたらいいなと。少しレベルが抑えめのリーグでやることで、上に上がれるチャンス、きっかけを得ることもあると思う。浅野は、そこに当てはまって、上に行ってほしいね。

 オッツェ氏は、J2湘南ベルマーレらと小学生年代の育成を行う、共同プロジェクトを立ち上げる契約を結び、神奈川で7月1日に開校する、日独フットボールアカデミー神奈川校の校長に就任する。昌子をはじめとしたJリーガーのブンデスリーガ挑戦、そして日本の育成年代をブレーメンで強化したいという同氏の決意は固い。【村上幸将】