ACミランの日本代表FW本田圭佑(30)が23日、開設したばかりの自身の公式ツイッター(@kskgroup2017)で、英国マンチェスターで起きた爆発事件の被害者を思いやるメッセージを英語でつぶやいた。
手にした新たな発信ツールを使っておくやみの言葉をつづり、さらに、問題解決には、子どもたちへの教育が大事であるという持論にも触れている。
サッカー選手が何を言うんだ、という意見もあるだろう。
少しだけ考えてみる。
本田は「教育」に熱心に取り組み、世界中の恵まれない子どもたちが教育機会を得ることを「ライフワーク」と定めて生きる。
オフを利用してアジアを中心に世界を回り、サッカーを通じて子どもたちに夢を与える活動を続けている。
昨年6月には、世界中の子どもたちに質の高い教育が普及するよう手助けする役割を国連傘下の「国連財団」から任命されている。
この本田のつぶやきで、何かが変わる--。そんな単純なものではない。
ただ、本田は何かひとつ、ほんのささいなことからでも、この世の中を、世界を変えたいと、本気で思っている。
30歳になった昨年6月に、こう言っていたことを思い出す。
「残る人生、ライフワークとして、世界の共通言語であるサッカーをツールに、最初はうまく、少しサッカーを活用させてもらいながら、教育についてやっていこうと思っている。
自分は、普通の人が放っておいたらいいというところにまで、手を出すような性格で子どもの時からやってきた。何かしたいと強く感じるのは、キャラクターとして、自然な流れなのかなと思っている。
もちろんサッカーはサッカーでやる。確かに、サッカー選手だけど、サッカー選手であるだけだとは思っていない」
ロシア1部CSKAモスクワ在籍時の10年には、暮らしていたモスクワで地下鉄爆破テロが置き、惨劇を身近なものとして感じた。
日本を飛び出し、海外暮らしは10年になる。遠征でも各国を飛び回る。世界の情勢には敏感で、今回のマンチェスターの悲劇のような出来事を、リアルに受け止める。
いま、サッカー選手としては、移籍を巡る話題の渦中にあり、日本代表でもACミランでも出番を失っている。この状況なら、一切つぶやくこともせず、静かにしておく手もあるだろう。だが、ツイッターで発信した。あえて。
一体、本田がつぶやいて、何になる? その意味を日本で少し考えてみる。
事件は、教育は…と。これも、マンチェスターの事件にわずかでも寄り添うことになるような気もする。本田の意図は、そんなところにも、あるはずだ。
【サッカー担当=八反誠】