酒井高徳と伊藤達哉のハンブルガーSVは、敵地でレーバークーゼンに0-3で敗れて4連敗となった。酒井高は左サイドバックでフル出場。20歳の伊藤は後半37分から左MFでプレーし、ブンデスデビューを果たした。

 初出場した伊藤の一問一答は以下の通り。

 -ブンデスデビュー戦。どうですか?

 伊藤 まあ前節から「出るかな?」っていうのがあって、今節(出場のチャンスが)来て、10分くらい時間あって、もうちょっと、ちょっと1回、シュート打てたシーンがあって。そこでパスしちゃったところが、ちょっと、気持ちがまだ。言葉では「準備できてる」って言ってても、まだできてなかったのかなって感じですね。

 -交代で呼ばれたのは、自分の中では予想外だった?

 伊藤 いや、もう、50%ぐらいでは「(出番が)来る」っていうのは思ってたんで、それはまあ先週から。だから呼ばれた時は、もう、呼ばれた瞬間は、もう、なんか「『真っ白」じゃないですけど「いよいよ来た!」っていう気持ちが相当強かったんで。一応、プロでサッカーするために今までやってきたんで。その瞬間は、特別な瞬間ではあったんですけど。

 -思いがこみ上げたような感じ?

 伊藤 いや、ていうか試合が負けてたんで、それどころじゃなくて。本当、勝ちたいっていう気持ちで(チームに)帯同してて、自分が出たら勝たせたいっていう気持ちだったんで。そうですね、とりあえず点取ってやろうっていう気持ちだったんですけど、はい。でも、こんな結果で残念でしたけど。

 -監督からはどういう指示が出てた?

 伊藤 「セカンドチームでやってるようにやってこい」って。

 -伸び伸びやってこいということ?

 伊藤 そうですね。

 -左のポジションで出るというのはある程度決まっていた?

 伊藤 あそこが自分の一番得意なポジションではあるんで。別に決まってたわけじゃないですけど「そこで行け」って言われたんで。

 -「50%くらいで来ると思ってた」っていうのは、監督からもそう言われていたところもあった?

 伊藤 いや、監督とは正直、全くコミュニケーション取ってなくて。ただ、たぶん監督、そんな選手としゃべるタイプでもないので。普通に、まあそうっすね、メンバー入りしてったりとか、そういうベンチの中で、こういう時間だったら俺を試してくれるんじゃないかな?っていうのが自分の中であった上での50%なんで、監督に言われたとかではなくて。そういう客観的に見てって感じですね。

 -試合自体は敗戦濃厚な中での出場だった。1部の試合に出てどうか?

 伊藤 それはもう、嬉しいというか、やっと。ドイツ来たの3年、2年半前くらいなんですけど、一応この日のために来てるんで、やっとこの日が来たかっていうか、この時が来たなっていう気持ちではありましたね。

 -ようやくスタートラインに立った

 伊藤 そうですね。ほんと、そういうことです。でも今回スタートラインつっても、けが人が多い状況なので、自分の中では厳密にはまだ“勝ち取ったスタートライン”ではなくて、チャンスが回ってきたっていうスタートラインという感じなんで、ちょっと違うんですけど。でもまあどっちにしろそのチャンスはいかしたかったですけど、ちょっとまあ残念ですね。

 -こういう短い時間でもアピールしていくことがトップチームに定着していく

 伊藤 そうですね、特に僕みたいに身長が小さい選手は、ブンデスとかだと、なんだろな、ちょっと敬遠されがちというか、ちょっと特別な枠にはなっちゃうんで、そういう中でもこうして試合に出させてもらった時に、自分が何ができるっていうのを、短い時間でもどんどん出していかないとって感じですね。

 -自分で自分の売りはどう思っている?

 伊藤 サイドで1対1(の時にボールを)渡してくれたら、僕は抜く自信があるんで。相手がどんな選手であろうと。そういうところですね。例えば日本代表の上手い選手とかみたいに中央でうまいとかじゃなくて、俺は本当にサイドでポンっと1対1(の場面でボールを)渡してくれた時に突破して、ゴールにつなげるっていうのがこっちでのタイプなんで、だからホント、まあ目指してる選手とかはリベリーとか、そういう感じですね。

 -裏にスペースがあってそこを活かしてくタイプ?

 伊藤 うーん、まあどっちかというとボールを渡されてから、自分で打開するっていう感じなんで。

 -まさにリベリー

 伊藤 そうですね。リベリーもちっちゃいのに、世界でトップクラスのサイドハーフなんで、すごい参考になるところばっかで。そんな感じですね。

 -短い出場時間だったが、実際に試合に立って見て、相手の右SBヘンリクスとも対峙した。普段やっているセカンドチームでの試合と比べると、相手のレベルはどれくらい違う?

 伊藤 レーバークーゼンの試合を見ていて、やっぱうまいなって。HSVもプレッシャーかかっていないわけじゃないし、むしろガンガン取りに行くっていう戦術でやっているのに、あれを、あんな、あんだけプレッシャーあってストレスがある状況で、あんだけ回していけるし。で、1回、今日もヘンリクスに振り回されたシーンがあったんですけど、もう、なんかうまかったですね。僕のボキャブラリーじゃちょっと伝えられないですけど(笑)。やっぱり、もう全然うまかったです。やっぱり、でも、ボール持った時にヘンリクスはマッチアップして、そんなにプレッシャーが、まあ時間帯と点差もあって、そんなには感じなかったんで。ボールを持った時には、そんなには、感じなかったですけど。

 -きっとスタメンから出られたら、本当のブンデス1部を感じられる?

 伊藤 そうですね。だから正直、準備できてるっていっても、試合見ている中で、こんだけブンデスのテンポがあって、こんだけいったりきたりの中で、あんだけ走ってこんだけのクオリティーでやっているっていうリーグは、ホント他にないと思うので、だから90分やれる自信は正直まだ全然ないんですけど。でもまあ、こっちでこうやって短い時間からちょっとずつアピールしていって、そういう体の準備をもっと、90分ブンデスで戦える準備をもっとつけていかないとっていう感じですね。