ドイツ杯決勝でフランクフルトに1-3で敗れたバイエルン・ミュンヘンは、ビデオ判定をしたのも関わらず判定が覆らなかったことに怒り心頭だと、20日付の独紙ビルトが報じた。

 最大の怒りは1-2の後半ロスタイム、フランクフルトFWボアテングがペナルティーエリア内でMFハビマルティネスを倒した場面。映像では完全にボアテングの足がハビマルティネスの足を蹴っていた。ツバイアー主審はビデオでそのシーンをチェックしたが、PKではなく、CKを宣告した。このCKからカウンターを受けて、試合を決定づける3点目を許した。

 キャプテンのFWミュラーは「明らかなものだった。ボールには触れていない。何のためにビデオ審判があるのか理解できない。ロスタイムで、しかも同点につながるようなPKにかかわる判定にプレッシャーがかかるのはわかる。だが、あれは微妙な判定ではない。それだけに非常に痛い」と痛烈に批判した。また、この試合が最後の指揮となるハインケス監督は「負けたときに審判について語るのは普段はしない。だが、いま我々にはビデオ判定がある。正しい決断をするための助けとなるべきなのだが」と不満を述べた。

 対戦相手のボアテング自身は「彼(ハビマルティネス)に明らかに行っていた。本来なら吹かれなければならないシーン。幸運だった」とファウルを認めており、コバチ監督も「ビデオ映像を見たが、あれはPKだったといわざるを得ない」と認めた。

 試合後のセレモニーでBミュンヘンの選手らは、準優勝のメダルをもらった後に、本来ならそのまま残って優勝チームをたたえるのが通例だが、そのままロッカールームへ向かってしまった。これについてDFフンメルスは「リスペクトに欠ける行動をしようとしたわけではない。誰かが戻ったのでそのまま残りがついてしまっていったんだ。カモの家族みたいにね」とコメント。ハインケス監督は「正直に言って、あの瞬間、私も選手も考えられない状態だった」と説明した。

 試合後は予定していた祝賀会も中止となった。ハインケス監督の最終戦はフラストレーションの残る終わり方になってしまった。