スペイン1部ベティスに加入した日本代表MF乾貴士(30)が「ラスト移籍」の決意を語った。12日、異例ともいえる都内のスペイン大使館で開かれた入団会見に出席。スペインリーグ史上初めてスペイン国外で行われた中で「恐らくこれがラストの移籍」と言い、日本代表と同じ背番号14の新ユニホームも発表した。フラメンコ発祥の地セビリアで代名詞の“セクシーフットボール”を披露する。

 新しい背番号は、2発を沈めたワールドカップ(W杯)と同じ「14」。サムライブルーから、アンダルシアカラーと呼ばれる緑と白の戦闘服に替えた乾はどこかうれしそうだった。「もう30歳になったし、おそらくこれがラストの移籍になる。その中でベティスは自分がすごくやりたかったサッカー。迷ったけど、挑戦したい思いがすごく込み上げてきたので決めました」。エイバルからの移籍決断の思いを明かした。

 ベティスがあるスペインのアンダルシア州セビリアは今から400年前に伊達政宗の家臣・支倉常長ら使節団が初めて訪れた地。日本と長く関わりがあり、ベティス・ジェネラル・ダイレクターのアラルコン氏は「ハッピーで陽気な人間性の土地柄です」と話した。

 フラメンコ発祥の地でもあり、乾の代名詞“セクシーフットボール”は、まさにその土地にぴったり。ベティスへの移籍がささやかれていた4月に同地で試合をした際は、敵にもかかわらず拍手を受けた。“ハマる”土壌はある。「温かいファン。ただ、厳しいとも聞いているので、厳しくされないように良いプレーをしたい」と抱負を語った。

 W杯後は身の回りの環境が一変。「電車を乗るたびに顔を指されますし、プールに行くだけで“盗撮”もされます」と苦笑いした。ただ「子どもの運動会では、すごく子どもたちも寄ってきてくれた。影響はすごく大きく感じています」。

 一層、注目される選手になって迎えた移籍は「とにかく楽しみでしかない」。契約は3年だが「2年しかしてもらえなかった」と笑わせた。勘違いしたのは“先”を気にしていないから。「1年1年を頑張っていく。その中で4年後(のW杯)に選ばれれば一番いいことだと思うが、まずはレギュラーを取れるように今年、頑張っていきたい」。

 チームには26日に合流。早ければ8月3日のボーンマス(プレミア)との練習試合がデビュー戦になる。【今村健人】