【メルボルン(オーストラリア)15日=八反誠】オーストラリアAリーグの強豪メルボルン・ビクトリーMF本田圭佑(32)が“世界で最も住みやすい都市”を拠点に20年東京オリンピック(五輪)へと向かう。契約書に正式サインし、本拠地の1つAAMIパーク内で入団会見。年齢制限外、オーバーエージ(OA)枠での出場を狙う2年後の大舞台に向け「オリンピックでプレーする上で、ここが一番成功できるクラブ」と言い切った。この地から、東京での金メダル獲得に、本気で挑戦する。

 ここメルボルンが、本田にとっても“世界一の都市”になる。約100人が会場に来た会見ではオーストラリアの英語に苦戦しながらも、通訳をつけず地元メディアに対応。ピッチでの撮影ではリフティングも披露した。

 「ワールドカップ(W杯)後、キャリアを終えることも考えたが、幸い、このクラブが素晴らしいオファーをくれた。ケビン(マスカット監督)と話して、考えを変えた」。同監督の熱い誘いも響き、よぎった引退の2文字を封印。「彼はとても野心的。自分もそう。とても刺激を受けた」と熱い指揮官の後押しも受けながら、2年後の東京五輪へ。すでに、ボランチ転向案も訴えつつある。

 

 こだわり続けたW杯には、ロシアで区切りをつけた。サッカーを続ける理由が消滅。そんな中、掲げた壮大な目標が、東京五輪。拠点となるクラブは、五輪への挑戦も、そして自ら前例がないというカンボジア代表の実質的監督としての活動も認めた上で、約4億円という破格の年俸で迎えてくれた。五輪に向け「想像を超えるような成長を見せられたら。オリンピックでプレーする上で、ここが一番成功できるクラブだと確信している」と言い切った。

 メルボルンは、英エコノミスト誌の「世界で最も住みやすい都市ランキング」で7年連続1位。14日発表の最新ランクで2位(1位はウィーン)に転落したが、本田にとって、すべてを受け入れてくれた最高の都市であることに変わりはない。東京五輪での目標も“世界一”に定めている。ゲンもいい。ちなみに3位は故郷大阪だった。

 カンボジアとのすみ分けも「(日程が)かぶる時はメルボルンを優先します。こちらにいるということがそれを象徴している」とはっきりさせた。直近の公式戦は21日の国内カップ戦、FFA杯だが、ビザの関係もありデビューは見送られる可能性が高い。勝ち上がれば9月中旬には同杯準々決勝があり、リーグ開幕は10月。「何の大会でもいいのでトロフィーを取ることを楽しみに来ている。それを達成したい」。2年後の金メダルへ、ここから歩みを進める。