17年に引退した陸上男子100メートル、200メートルの世界記録保持者ウサイン・ボルト氏(32)が12日、オーストラリア南部キャンベルタウンで行われたAリーグのセントラルコースト-マッカーサー・サウスユナイテッドとのプレシーズンマッチに、セントラルコーストの一員として先発し、初ゴールを含む2ゴールと大爆発した。

ボルト氏は2-0とリードした後半12分、中央から左に展開されたボールを受けた味方MFが、ゴール前に上げた浮き球パスに反応。持ち前の快足を飛ばして競り合ったDFを振り切ると、左足を振り抜いてゴール左隅に決めた。ボルト氏は待望の初ゴールに、歓喜の拍手を繰り返した後、お得意の「ボルトポーズ」で大見えを切った。

さらに同22分には、左からのロングボールに味方とDFが競り合い、こぼれ球の処理を飛び出したGKが誤ると、ボルト氏はそこに入り込み、左足で1トラップして左足で決めた。ボルト氏は後半30分に交代した。

ボルト氏はセントラルコーストに練習生として加わっている。5日に現地で先発の可能性が高まったと報じられると「メチャクチャ興奮しているよ。もし先発できたら、自分にとって本当に大きなことだ」と笑みを浮かべた。

8月31日のセントラルコースト選抜とのプレシーズンマッチでは、後半26分から出場してサッカー選手としてデビューを果たしたが、ボールの扱いに不慣れなことを露呈。後半ロスタイムにはゴール前に決定的なタイミングで飛び込むも、ゴールはならなかった。その後、フランスで行われた無重力体験イベントに参加するため1度、オーストラリアを離れた、再び戻って練習に参加していた。

ボルト氏は「成長を感じている。ボールタッチは、格段に良くなっている。少しでも長い時間、試合に出たい。ゴールを決めたら、本当に大きなこと。セントラルコーストは、僕にチャンスをくれたから、ゴールでお返ししたい」とゴールに強い意欲を見せた。その言葉どおり、この日は開始早々、右後方からの浮き球に抜け出すと、世界記録保持者の看板に偽りなしのスピードで抜け出し、シュートを放ったが枠を外した。前半40分には左クロスに飛び込み、競り合ったDFの頭2つ半上からヘディングシュートを放ったが、右ポスト脇にわずかに外れ、天を仰いだ。ゴールへの強い意欲を見せ続けたことが、初ゴールにつながった。

マルベイ監督は試合前、ボルト氏について「ウサインの成長が肝心なんだ。最初から、彼には時間が必要だと言っているんだ。もし必要なら、1年だって時間を与えると言っているんだよ。重要なのは、来年1月ころまでに彼がどのレベルにいるかということ。向こう数週間に個別練習を課すことも考えているし、彼にはあらゆるチャンスを与えたいんだ」と明言。21日のブリスベン・ロアー戦で開幕を迎える、Aリーグ開幕戦後もチームに帯同させる考えを示唆していた。