ハノーバーFW浅野拓磨(24)は、10月31日ドイツ杯ウォルフスブルク戦以来、公式戦5試合ぶりのピッチに立った。

ブライテンライター監督から「足元で受けるな。どんどん(DFラインの)裏に走れ」との指示を受け、決定機を演出した。

後半26分、FWバイダントのスルーパスに抜け出し。GKとの1対1の場面を作った。だがシュートは相手GKにセーブされ得点を決められなかった。直後の同30分に交代したが「しっかりゲームの流れを見ながら、攻撃の時に自分の生かし方っていうのは、できたのかなとは思います」と手応えを感じていた。

本来のFWでの起用ではなく、トップ下のポジションについて「やることは、本当に監督からも『どんどん裏に走れ』っていうことくらいしか言われていないので。2列目から走る分、それがチャンスになったりとか、今日はそういう場面がありました」と自身の持ち味を発揮した。

この試合は守備に追われる時間が長く、DFラインの裏への飛び出しが厳しいと感じ、監督との指示とは逆に下がってボールを受けるシーンが何度か見受けられた。それについて「本当は(監督から)『足元で受けるな』って今日は言われてたんですけど。(原口)元気くんや、味方が困っているなって思ったときに足元で受けたり。前に前にっていう、チームとしての意図だったけど、そこは臨機応変にできたのかなと個人的には思います」とコメント。流れを読んで柔軟に対応できたことに納得した。

浅野が決定機を外したことについて同僚の原口は「決めてほしかったけど」と話しながらも、「今日は彼の良さがすごい出てたと思う」と褒めたたえた。浅野のトップ下起用について「拓磨は前のほうがいいんだろうけど」と前置きした上で「逆に2列目から(裏に)出ていくと(相手はマークに)付きにくいし、あいつの良さは出るかなと思います」とコメント。トップ下でこそ浅野の持ち味が発揮しやすいという見解を持った。

今後は日本代表としてアジア杯が控えている。浅野は10月6日のシュツットガルト戦で左太ももを負傷してから、公式戦ではわずか2試合にしか出場できていない厳しい状況だが「少なからず代表というのも意識してます」とはっきりと言った。「今日、間に合ってスタメンで試合に出られたことは、僕にとっても大きいかなと思います」と、12日に迫っているアジア杯の日本代表メンバー発表前最後の試合でプレーできたことに安堵(あんど)した。

「(今日の試合が)アピールにつながったかどうかはわからないですけど、僕自身は、今日の試合やり切ったかなというのが感覚としてはあるので、それも(メンバー発表も)1つの楽しみかなと思います」。かつての恩師である森保監督が指揮する日本代表のサプライズ選出へ向けて、望みのつながる試合となった。(鈴木智貴通信員)