フランス1部トゥールーズに鹿島から移籍したDF昌子源(26)が敵地でのニーム戦でデビューを果たした。

3バックの左でフル出場し、積極的に声を出すなど守備を引き締め無失点、1-0の勝利に貢献した。周囲からの評価も上々だった。首位パリサンジェルマンはギャンガンに9-0の大勝。ストラスブールのGK川島永嗣(35)は5-1で勝ったモナコ戦でベンチ外だった。

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昌子が早くもデビュー戦で存在感を見せた。前半28分、ゴール前で相手のボールが右腕に当たって落ち、そのボールをクリア。ファウルとならず“神の手”に、敵将ブラッカール監督がPKを求めて激しく抗議し、退席でおいやられるハプニングとなった。

守備では言葉の壁にも動じず、声を出し続けた。「右」「左」はフランス語で指示。「アレ、アレ、アレ(行け、行け、行け)」とも。チームの過去の試合の映像を見ると、集中力を欠いて失点する場面が目立ったという。声を出すことで「みんなが『あいつ、何か言っているな』というだけでも、グッと集中するはず」という思いから。中には「不意に『シュウチュウ!』(と言って)、あ、集中ちゃうわ、えーっと」と、つい日本語を口走る場面もあったという。

昌子の熱意が通じてか、チームは公式戦では6試合ぶり、今季リーグ戦3試合目の無失点勝利を挙げた。簡単な英語も交え「言葉が分からなかったら、ジェスチャーで伝えるとか」とコミュニケーションを試みた。チームメートからは「お前の声、よく聞こえていたよ」と言われたという。

後半ロスタイムには相手の縦パスをカットして自らドリブルで上がり、シュートも放った。試合終了の笛を聞くとガッツポーズ、GKと抱き合って喜んだ。W杯ロシア大会日本代表では唯一の国内組レギュラーだったが、約半年たち、上々の海外デビュー。地元記者は「妥当な出来だった」と評価。ニーム関係者は「日本人は教育が行き届いている。彼は指示のメモを下に捨てず、ピッチ外に捨てに行った」とマナーの良さにも感心していた。(松本愛香通信員)