今冬にドルトムントから期限付き移籍したトルコ1部ベシクタシュMF香川真司（29）が、衝撃の2発デビューを飾った。敵地アンタルヤスポル戦で後半36分から初出場すると、主な欧州リーグの新クラブ初戦では日本人最速となる16秒で初ゴール。39分には直接FKも決めて2分22秒の間に2得点し「魔法」「接着剤」と絶賛された。10日ブルサスポル戦で先発での本拠地デビューの可能性も浮上した。

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自ら「夢みたい」と驚いたトルコデビューが、香川に待っていた。後半35分52秒に投入されると、敵陣中央で初ドリブル。尊敬するカズばりの、またぎフェイントから右足を振ると、DFの股を抜くグラウンダー弾がゴール左に突き刺さった。36分8秒、初シュートが初ゴール。16秒での新クラブ初戦弾は欧州主要リーグで日本人最速となった。

38分30秒には直接FKも決めた。正面25メートルのキッカーを任されると笑みを浮かべ、右足で。縦回転がかかったボールは壁を越えて急激に沈み、ワンバウンドしてゴール右へ飛び込んだ。黒鷲軍団にもみくちゃにされ「いいスタートを切れてラッキーでした。とても幸せ」。同じトルコのガラタサライ長友も思わず「フリーキック縦回転は初めて見たわ。」「あんな球蹴れるなら隠さず先言っといてや。笑」とツイートした。

加入3日でも試運転のつもりはなかった。前半からウオーミングアップを始め「必ず出る」とばかりに、まなざしを常にギュネス監督へ向けた。ドルトムントでは今季の公式戦出場が4試合にとどまった中、複数の選択肢から、昨夏に続いて獲得に動いてくれたベシクタシュ入りを決断。「非常にいい信頼関係があって、必要としてくれていたので。ここでしっかり結果を残したい。一緒に戦っていきたいなぁと思った」。

10月30日のドイツ杯ウニオン・ベルリン戦以来、約3カ月ぶりの出場で試合勘の欠如も指摘されたが、トルコ初出場から2分38秒、ゴール間隔では2分22秒で2得点の離れ業。日本で生まれ、今トルコで人気のカップ麺に必要な3分間も香川には必要ない。一夜明けのトルコでも絶賛された。5紙がカラー面トップ扱いで「ミラクル」「3分間で、とりこに」「魔法をかけた」「香川に嫉妬」「瞬間接着剤（ゴール前から離れない）」－。アジアと欧州をつなぐトルコで香川フィーバーが起きている。

圧巻の船出にも、不退転の決意で移籍しただけに「まだ1試合だけ。もう次の試合に切り替えた」と強調した。クラブ関係者によると、本拠地デビューとなる10日のブルサスポル戦を先発で飾る計画も浮上。夢のスペイン移籍、自他ともに納得する形での日本代表復帰へ「結果と勝利に自分がどれだけ、かかわっていけるか」だと思っている。衝撃2発も序章でしかない。（オルムシュ由香通信員）

◆トルコ1部リーグ　1959年創設。18チームによる総当たりのホームアンドアウェー方式で行われる。優勝チームには欧州CL1次リーグ出場権、2位には同プレーオフ出場権、3位には欧州リーグ出場権、4位には同プレーオフ出場権が与えられる。下位3クラブは自動降格となる。