バイエルンが、圧倒Vを足掛かりに進化を目指す。ボルフスブルク戦を0-0で引き分け、残り3試合で2位ブレーメンとの勝ち点差を10に広げ、開幕節から1度も首位を譲らず、2年ぶり21度目の栄冠を手にした。今季で引退する正GKオリバー・カーン(38)は背中痛で欠場したが、控えのレンジングが好守で完封に成功。来季から監督に就任するクリンスマン氏は、チームのスピード化を掲げており、名門は完全復活に向けてターニングポイントを迎えた。

 名門に立ち止まっている暇はない。2年ぶりの王座奪回に成功したバイエルンが、早くも黄金時代に向け準備に入った。今季で退任するヒッツフェルト監督に代わり、来季のクラブを引き継ぐのはクリンスマン氏。その頭には、既に青写真ができ上がっている。

 その1つがチームの「プレミアリーグ化」だ。攻守が目まぐるしく入れ替わるイングランドなどの他国リーグに比べ、「バイエルンのサッカーはテンポに乏しい」と指摘。ボルフスブルク戦も、押し込まれた状況からカウンターで局面を打開する選手がおらず、苦戦の原因にもなった。目標とするのは、マンチェスターUのC・ロナウドやルーニーが織りなす速攻。選手には体調に合わせて個別練習の練習メニューを組み、高速ダッシュを何度も繰り返せるようなタフで速い選手を育てる。

 ヒッツフェルト監督の在任中に試合を視察したり、チーム施設内のサポーター用スペースを練習場に変えたりと、次期監督の行動は早くも物議を醸している。しかし、それも熱心さゆえのことだ。ヒッツフェルト監督は「強い重圧の中で王者になれた。スーパーなチームを引き渡すことができる」と期待した。土台はできた。あとは、ドイツ代表監督としてもチームのスピード化に成功したクリンスマン氏の手腕次第だ。