<セリエA:ローマ4-3カターニャ>◇16日◇ローマ

 【ローマ16日(日本時間17日)=波平千種通信員】カターニャFW森本貴幸(21)が、また「大物食い」ぶりを発揮した。強豪ローマと敵地で対戦、後半27分に縦パスに抜け出して、3-3の同点とする貴重なゴールを奪った。今季はローマ、ユベントスの欧州CL組から4ゴール挙げる勝負強さで、リーグ5点目。試合はロスタイムの失点で3-4と競り負けたが、日本代表入りが期待される森本が世界に通じる決定力を印象づけた。

 森本がまたローマのゴールを破った。2-3と1点を追う後半27分、MFテデスコがふわりと浮かせた縦パスに鋭く反応。オフサイドラインぎりぎりで抜け出し、飛び出してきたGKアルトゥールの手に当たりながらも、勢いでゴールにねじ込んだ。右手を握りしめ「どうだ」と言わんばかりにガッツポーズ。前回の対戦での2得点に続き、強豪ローマから通算3点目を奪い、誇らしげだ。

 勝ち越しゴールを狙い、その後も前線から必死にボールを追った。既に来季のセリエA残留を決めているが、ストライカーとしての姿勢を貫いた。同じピッチに立った元イタリア代表のエースFWトッティの存在感をかすませるほど、動きは際立っていた。試合はロスタイムの失点で3-4の惜敗。敗戦直後はがっくり肩を落としたが、ミックスゾーンにはすっきりした表情で現れた。そして日ごろコメントを発しない男が、珍しく口を開いた。

 森本

 前半はなかなかうまくいかなかったが、後半は攻撃的になれた。負けたのは悔しいが、自分としては1点が取れてよかった。90分間ずっと、ああいうパスを待っていた。テデスコには「ブラーボ(素晴らしい)」と言った。

 今季リーグ5得点。決して多い数字ではないが、欧州CLで決勝トーナメントに進出したローマから3点、名門ユベントスからもゴールを奪った。縦パスに反応し、スペースを鋭く突く飛び出しが持ち味だ。森本の名前をもじった「マレモート(津波)」の愛称は、イタリアで定着した。

 90年W杯でイタリアの正GKを務めたゼンガ監督は「彼はゴールを決める。ブラーボだ」と絶賛する。列強国の代表選手が集うセリエAでの活躍に、地元メディアからは「なぜ日本代表に呼ばれないのか?」と疑問の声が上がる。「大物食い」の勝負強さ、決定力や国際経験と、日本代表の救世主になるべき要素は持っている。そんな期待にも森本は「リーグに集中し毎試合ゴールを入れたい」とマイペース。着実に成長を続けている。

 [2009年5月18日8時5分

 紙面から]ソーシャルブックマーク