<欧州CL:バルセロナ(スペイン)2-0マンチェスターU(イングランド)>◇27日(日本時間28日)◇決勝◇ローマ

 【ローマ=春日洋平通信員】バルセロナが連覇を狙ったマンチェスターUを2-0で破り、3季ぶり3度目の優勝を飾った。アルゼンチン代表FWリオネル・メッシ(21)が、1点リードで迎えた後半25分に勝負を決定付ける2点目のヘディングシュートを決めた。昨年のバロンドール(世界最優秀選手)を争ったマンチェスターUのポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウド(24)との対決を制すとともに、大会9ゴールで史上最年少の得点王にも輝いた。バルセロナは国内リーグ、国王杯に続くタイトル獲得で、スペイン史上初の3冠獲得となった。

 身長169センチのメッシが勝利を決定付けた。後半25分、シャビのクロスに合わせ、196センチの長身DFファーディナンドの背後へもぐり込んでジャンプ。滞空時間の長いヘディングシュートで、197センチの大柄なGKファンデルサールの壁を破った。ピッチに着地した際に右足のシューズがぬげ落ちたが、それを拾いあげると歓喜のランニング。大歓声を気持ちよさそうに、全身で受け止めた。

 昨年9月21日のヒホン戦以来、今季公式戦2点目という珍しいヘディングでのゴール。同点を狙ってFWベルバトフを投入した直後の失点に、マンUのファーガソン監督はベンチに座り込んだ。C・ロナウドはひざに両手をつき、ショックの色をにじませた。両者の明暗がくっきり分かれた瞬間だった。

 06年のパリでの屈辱をローマで晴らした。3季前の決勝アーセナル戦は右太もも負傷で欠場。「僕の人生で最も失望した出来事だった」と振り返ったが、この日の勝利ですべてを吹き払った。「僕の人生上、最も重要な勝利だ。生きてて最高の喜び。この気持ちを家族、母国にもささげたい」。父ホルヘさん、故郷ロサリオから駆けつけた恋人アントネージャさんが見守る前で悲願を成就させた。

 「宿敵」との直接対決にも完勝した。1トップで先発し果敢にゴールに迫ったC・ロナウドに対し、メッシは2列目。シャビ、イニエスタが前を向いてプレーすることを助け、エトーの先制点の起点にもなった。気負いがみえる宿敵をよそに、冷静に戦況を見極めるプレーは光った。

 昨季は準決勝でマンUに敗れ、バロンドールもC・ロナウドに大差で譲った。その雪辱を期した今季、史上最年少の欧州CL得点王となってチームを欧州王者に導いた。バロンドールの授与者を務めるペレ氏は「今日の試合を見て、次の受賞はメッシだと確信した」と称賛した。昨夏の北京五輪優勝に始まり、タイトルずくめに終わったメッシの輝ける1年。進化し続ける21歳は来年W杯の頂点を目指し、さらに走り続ける。

 [2009年5月29日9時14分

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