セルティックMF中村俊輔(30)と、古巣横浜との移籍交渉が暗礁に乗り上げていることが10日、明らかになった。年俸1億5000万円の2年8カ月契約を基本線に5月下旬から水面下で交渉に入り、6月1日には代理人のロベルト佃氏と横浜幹部が初の交渉を持っていた。今後、このまま交渉が平行線をたどり長期化する可能性もある。

 秒読みと思われていた横浜復帰交渉が暗礁に乗り上げた。中村俊は「お世話になったクラブだし、第一に考えるのは当然だよ」と、5月下旬にスコットランドを出発する前にも横浜への愛着を表明していた。年俸や契約年数ではなく、自分を育ててくれた地元への恩返しの思いが強く、セルティックやスペインリーグ、横浜以外のJチームのオファーに対しても、横浜を最優先してきた。

 5月下旬から下交渉がはじまり、6月1日には代理人のロベルト佃氏と横浜側が交渉の席に着くなど、順調に進んでいると思われていた。だが、今週に入って亀裂が生じ、最後の詰めの段階に来て交渉が止まってしまった。11日に極秘裏に予定されていた横浜でのメディカルチェックもキャンセルとなった。この日、ロベルト佃氏は、日本-カタール戦が行われた日産スタジアムに姿を見せたが、ノーコメント。理由は不明だが、中村俊側が横浜側に何かしらの不信感を抱いたとみられる。

 このまま交渉が停滞した場合、中村俊サイドは国内外を問わず移籍の選択肢を広げることが予想される。いったんは断る方向にあったスペインリーグのエスパニョール、Aマドリードが候補に再浮上する見通し。また、セルティックも中村俊に対し5月末に年俸3億円、契約期間は中村俊の希望に沿うという好条件を提示し、再契約を目指している。11日から完全オフに入る中村俊の動向から目が離せなくなってきた。

 [2009年6月11日9時3分

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